病害虫のパターンを知って、適切に防除しよう!
硬い葉を持っているパイナップルは見るからに頑丈そうですが、放置していたら病気にもなりますし、害虫も発生することがあります。パイナップルは植えてから3年の月日をかけて実がなるので、長く育てている分愛情も芽生えてきます。それなのに、枯れてしまっては悲しいですよね!
病害虫の特徴や時期を知っておくことで、適切な対策や防除ができます。パイナップルを育てている人も、パイナップルの栽培を始めたいと思っている人も、美味しいパイナップルを作るために必要な知識として蓄えておいてください。
パイナップルのよくある病気と対策方法
パイナップル栽培中に悩まされる病気の事例をまとめました。病気の特徴と対策方法についてご紹介します。
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※2024年8月のデータ果肉の褐色斑点病
果実が成熟する前に果しんの付近に病気が発生します。目視ではほとんど見つけることはできません。果実を縦に切ってみると、2.5~5cmの果しん付近の果肉に淡褐色の水浸状になった斑点があり、そこで初めて病気に気付きます。発病した部分は硬くなり、食べると舌を刺すような痛みを伴う味になります。
パイナップルが褐色斑点病を発症する原因は、冬から春にかけて。寒くて乾燥し、日光が不足することと、密集して植え、西風が多いことで発症しやすくなります。また、熟した果実では、糖度が低く、酸度が高い果実の晩秋、早春に窒素肥料を多く与えることで発病します。
防除方法としては、果実の収穫は夏を主体として冬にはできるだけ収穫しないようにすることです。パイナップルの密集を避け、日陰にならないように間隔を空けて植えましょう。除草をこまめに行い、乾燥を防ぎ根の発育がしやすいように整えてあげましょう。
しんぐされ病
おもに新芽の幼い部分に発生する病気です。植え付けてからすぐに病気が発生すると、パイナップルの色は緑色から黄緑色に変わり、葉の先端が褐色になります。葉は根元が腐敗してしまい簡単に引き抜くことができるようになります。成熟前に発病した場合は、侵入された部分を中心にして限られた範囲のみで腐敗が見られます。
しんぐされ病は、植え付け後4ヵ月以内に発生することが多く、とくに植え付け後2~3ヵ月の発生が多くなります。防除方法としては、畑や鉢の排水を良好にして、土壌の性質を変え、パイナップルの生育環境を良くすることです。発病した株は取り去り、土壌を消毒します。植え付け前の苗を薬剤に浸します。11月から4月の間、雨の少ないときは30日おきに、雨が多いときは15日か7日おきに薬剤を散布します。
基ぐされ病
病気が苗の基礎部分に発生すると基ぐされ病とよび、葉に発生したときは葉白斑病、果実に発生したときは腐敗病と呼ばれます。この病気は植え付け後、1~2年以内のまだ果実を付けたことがないパイナップルに発病します。一般的には、植え付け間もない状態から病気が発生します。また、苗を積み重ね、湿度の高い状態にしておくことで多発するようになります。
基ぐされ病は、成熟した茎や葉、果実に発生します。茎の基礎部分で発病すると腐って柔らかくなり、黒色の胞子の塊が表れます。果実が発病すると、しんや果肉が腐敗して柔らかくなり、黄色く変色し酸っぱいニオイを出します。古い病斑部分は灰色か黒色に変わります。
病状がひどくなると、果実から汁が流れ出てしまい、繊維だけを残してほとんど空洞になります。防除法としては、基ぐされ病は風に乗って隣接した葉との摩擦や、昆虫の食害による傷口から侵入してきます。防除策としては、パイナップルの草本に傷を付けないことが大切です。夏と秋口に発病しやすく、湿度が高いと繁殖しやすくなります。予防法はしんぐされ病と同じ対策を施します。
萎ちょう病
萎ちょう病は、パイナップルを栽培しているどの国でも重大な被害を受けている病気です。多発する季節はなく、年中いつでも発生します。若い葉の先端が急に萎ちょうして枯れてしまうことがあります。また、下葉がしだいに枯れることでパイナップルの草本が大きくならず、実がならないこともあります。
萎ちょう病の原因は、栄養欠乏や過湿、干ばつや線虫の寄生、パインコナカイガラムシの寄生など様々な原因が考えられていますが、今のところ明確な原因は分かっていません。
防除方法は、5分程度苗の消毒薬に浸します。雑草が原因を作る可能性が高いため、除草を十分に行います。
パイナップルのよくある害虫と駆除方法
パイナップルの育成を阻害するものは病気だけではなく、害虫による被害もあります。しかし、害虫による被害が少ないので、対策や駆除方法が深刻になるほどではありません。パイナップルを栽培するうえで多く発生する害虫の特徴や対策方法についてご紹介します。
コナカイガラムシとアリ
パインアップルコナカイガラムシは1月から2月に最も少なくなくなります。その原因にはアリが大きく関わり、アリが食物や自分の卵を運搬するように、コナカイガラムシをくわえて株から株へ移動させる役目を担っています。
3月から温度の上昇やアリが活発に活動を始めることから、コナカイガラムシの発生量が多くなりはじめます。4月からは天敵の出現、5~6月は多雨も加わり一度は害虫が減少しますが、7月下旬からの果実が成熟してくる頃にコナカイガラムシの繁殖が旺盛となります。
コナカイガラムシの防除適期は3~4月と7~9月です。殺虫剤を防除適期に2~3回散布します。アリの防除も忘れずにおこないます。
アナナスシロマルカイガラムシ虫
気温が高くなりはじめる3月から発生量が多くなり、4月下旬から5月上旬にかけてがとくに多く発生します。アナナスシロマルカイガラムシの防除には、3~4月が適期です。
症状別!原因と対策
パイナップルが枯れたり、実がならない原因は病気や害虫だけが原因とは限りません。ここでは、病害虫以外の原因をご紹介します。
パイナップルが枯れてしまう原因は?
パイナップルが枯れる原因には、過剰な水やりや害虫、土壌中の亜鉛欠乏や肥料が足りないこと、湿度が低いことが挙げられます。パイナップルの栽培の基本ですが、土壌中の亜鉛欠乏を防ぐために、土を酸性土にしておくことが大切です。またパイナップルは高温多湿の状態を好むので、日当たりの良い場所で育てることがおすすめです。
パイナップルの果実がならない原因は?
パイナップルを育てていても果実がならないことがあります。まず、原因として考えられるものは、パイナップルの育成年数です。パイナップルは1年に1回、果実が成熟するわけではなく、3年の年月をかけて1つの実がなります。植え付けから何年経過したか確認してください。
次に考えられる原因は、適切ではない温度で栽培している可能性があります。パイナップルは高温多湿の環境を好み、20度から30度の間での栽培がおすすめされています。気温が低くなる秋以降は室内で保管し、10度以下にならないよう気を付けましょう。
パイナップルの花が咲かない原因は?
パイナップルの花が咲かない原因として考えられることは、乾燥と日当たりです。表面の土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。また、日当たりが悪いと花が咲きません。直射日光が当たらなくても花は咲きますが、家屋の土塀路地裏や室内などの人工物により、完全に対応が遮断される場合には、花が咲かないことがあります。
パイナップルの栽培に必要なもの
家庭菜園でおこなう場合、パイナップルの苗は植木鉢に植えるのが一般的です。パイナップルの苗はインターネットでも購入できますが、スーパーなどで購入して食べ終わったパイナップルからでも栽培することができます。パイナップルの土壌は、果樹用の土に酸性の鹿沼土を加えて少し酸性にしてあげましょう。
植木鉢のサイズは直径15㎝の5号から直径20㎝の7号サイズがおすすめです。肥料にはリン酸の多いものを選びます。このほか、作業がしやすいように軍手とガーデニング用のハサミ、ジョウロがあると便利です。
まとめ
パイナップルは酸性土壌を好み、寒くなる秋から冬の間は暖かい室内に移動できるように植木鉢で栽培することが一般的です。見た目もかわいいことから、室内で栽培する人も多く、紫色の花も楽しめます。パイナップルをお部屋の観葉植物として育ててもいいですし、何よりパイナップルの果実がなる様子は面白いですよ!