ナスの旬の時期は夏から秋
ナスの旬は5月から10月頃にかけての約半年間。つまりナスは夏も秋も旬ということになります。ただし出荷のピークは8月頃なので、この時期が最もお手頃価格で手に入りやすく、一般的には夏野菜として知られています。
初夏から収穫されるナスを「夏ナス」、9月以降に収穫されるナスを「秋ナス」と呼び、夏ナスは水分が多くみずみずしいため、サラダや漬物にして生のままでも美味しく食べられるのが特徴です。一方、秋ナスは甘みが強く種が少ないため、天ぷらや焼きナスなど素材の味を引き出す料理に向いています。
ナスに含まれる栄養素
ナスには、食物繊維が豊富に含まれており、便秘解消に効果的です。またナスの皮には「ナスニン」というポリフェノールが含まれているので、皮ごと食べることで高い抗酸化作用が期待できます◎
またナスには皮膚や粘膜の健康を維持するβ-カロテンや、骨や血液の健康に関わるビタミンKも含まれています。この2つは「脂溶性ビタミン」で油に溶けやすい性質を持っているため、炒め物や揚げ物にすることで吸収率がアップします。
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※2024年8月のデータ代表的なナスの品種
実はナスにはたくさんの品種があり、それぞれ特徴や旬の時期が異なります。
ここではナスの代表品種とその特徴について紹介するので、味わいや産地にも注目しながら、自分好みのナスをぜひ見つけてみてください◎
千両ナス
スーパーや八百屋さんなどに最もよく並んでいるナスは「千両ナス」という品種です。「中長ナス」とも呼ばれ、長さは15㎝前後で皮は濃い紫色をしているのが特徴です。千両ナスは全国的に広く栽培されており、山形県や熊本県では夏から秋にかけて、高知県では冬から春にかけて旬を迎えます。
ナスの中でも苦みやクセがなく、どんな料理にもよく合うので、煮る、焼く、揚げるなど様々な調理法に活用できます。
長ナス
中長ナスよりも実が長く、20~25cmほどに成長する品種を総称して「長ナス」といいます。秋田県の「河辺長ナス」や、大阪府の「大阪長ナス」など国内では在来種として育てられてきたものが多くあり、主に7月上旬から10月下旬頃にかけて出回ります。
長ナスは肉質が柔らかく、コクのある甘みが特徴的で、天ぷらや揚げびたし、シンプルな焼きナスなどの料理にピッタリです。
丸ナス
「丸ナス」とは、名前の通り、野球ボールくらいの大きさの丸いナスです。京都府の「賀茂ナス」や長野県の「小布施丸ナス」などが有名で、地域の伝統野菜にもなっています。丸ナスの旬は産地によってやや異なりますが、おおむね初夏から秋口にかけてとなっています。
皮は濃い紫色、果肉はしっかりと詰まった硬めの肉質で、加熱しても心地よい歯ごたえを感じられるのが大きな特徴です。丸い形を生かした田楽や天ぷらなどの料理におすすめです。
小ナス
「小ナス」は、重さ10~20g、長さ8cmほどの小さくて可愛らしい見た目が特徴的な品種です。形はボールのように丸いものと、卵型のものとがあります。小ナスは一般的に漬物として活用されることが多く、ぎゅっと引き締まった果肉の独特な歯ごたえを楽しめます。
からし漬けや粕漬けで有名な山形県の「民田(みんでん)ナス」は小ナスの代表品種で、松尾芭蕉が「おくの細道」の旅の途中に詠んだ「めずらしや山をいで羽の初ナス」という句は、民田ナスのことだといわれています。民田ナスの旬は6月下旬から10月上旬にかけてとなっています。
米ナス
「米ナス」は、アメリカの品種を改良した大型の種類で、中長ナスを3倍ほどの大きさに拡大したような見かけをしています。ヘタは緑色です。皮の色は中長ナスと同様に黒紫色で、果肉は締まっており煮崩れしにくいという特徴があります。米ナスは7月から9月にかけての暑い時期に多く出回ります。
生食にはあまり向いていませんが、縦に半分に割ってチーズをのせて焼いたり、蒸して味噌田楽にしたりと火を通して食べるとナスの味わいを存分に楽しめます。
白ナス
「白ナス」とは、名前の通り皮の色が白いナスのことを指します。ナスが持つ紫色の色素は「アントシアニン」という成分由来のもので、白ナスにはそのアントシアニンが含まれていないため、真っ白な見た目をしています。スーパーで見かける機会は少ないかもしれませんが、通常のナスと同様に6月頃から10月にかけて旬を迎えます。
一般的な中長ナスに比べると皮は硬めで、天ぷらなどの揚げ物や炒め物に適しています。また加熱すると果肉が柔らかくとろけるような食感になるため、「とろナス」とも呼ばれています。
青ナス
「青ナス」とは、皮が薄緑色や緑色をしているナスのことで、地域によっては白ナスと区別しない場合もあります。ただし一般的に白ナスより旬が遅く、7月中旬頃から出回りまはじめます。
皮は白ナスと同様に皮が厚く硬いため、加熱して食べるのがおすすめです。また形や大きさによって「翡翠ナス」や「緑ナス」と呼ばれることもあり、青ナスがよく採れる地域では田楽にして食べられることが多いです。
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※2024年8月のデータナスは家庭菜園で育てられる?
ナスは、家庭菜園で育てることもできます。栽培難易度は低めなので、お子さんと一緒に育てるのもおすすめですよ◎
ナスを育てる際は、日当たりが良い場所を選び、28〜30℃前後の気温の中で管理すると、より生育しやすいです。またナスは6月から9月頃にかけてが収穫期となるため、2月から3月の間に種まきを行い、4月から6月上旬にかけて定植すると良いでしょう。
ナスの栽培手順やコツについて詳しく知りたい人は、こちらの記事も合わせてぜひチェックしてくださいね♪
豆知識:「秋ナスは嫁に食わすな」はどんな意味?
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざを耳にしたことがある人もいるでしょう。このことわざには2つの意味があり、「秋ナスは体が冷えるので妊婦さんに食べさせてはいけない」というものと、「秋ナスは美味しくてもったいないから嫁には食べさせない」という意地悪なものとがあります。
しかし秋ナスを少し食べ過ぎたからといって、健康に害を及ぼすほど体が冷えてしまうことはありません。夏ナスとは一味違った、甘みの強い味わいを楽しめる秋ナスは、家族みんなで美味しく食べましょう◎
夏にピッタリ!ナスさっぱり簡単レシピ
ここからは、夏にピッタリなナスのさっぱりレシピを3つ紹介します!
ナスには夏バテ防止に効果的なカリウムやビタミン類がバランスよく含まれています。暑さで体調を崩しがちな夏の時期に、旬のナスを食べて美味しく健康を目指しましょう◎
ナスの浅漬け
ねぎや生姜などの薬味が爽やかに香る「ナスの浅漬け」。ナスを塩で揉み込み、即席で仕上がるため、忙しい日のもう一品におすすめです◎
【材料】
- ナス 1本(約150g)
- 塩(塩もみ用) 小さじ1/2
- 醤油(好みで薄口でも) 小さじ1/2〜1
- ごま油 好みで少々(入れなくてもOK)
- 大葉 1枚
- みょうが 1/3個
- 薬味ねぎ 1/2本分
- 生姜 少々(1/4かけほど)
【作り方】
- ナスはヘタを切り落として3等分し、さらに縦4〜6等分に切ります
- ナスをボウルに移し、塩を加えてギュッギュッと揉み込みます
- ナスがしんなりとして透明感が出てきたら、水分を絞ります
- 水分を絞ったナスを別のボウルに移し、調味料と薬味を全て加えます
- 全体を軽く和え、器に盛り付ければ完成です
万能だれのナスの揚げ浸し
カラッと揚ったナスに薬味たっぷりのたれが絡む「万能だれのナスの揚げ浸し」。ご飯のお供にはもちろん、そうめんやサラダのトッピングとしても使えて便利ですよ◎
【材料】
- ナス 2本(160g)
- ねぎ 10cm(10g)
- しょうが 1かけ(みじん切り)
- にんにく 1かけ(みじん切り)
- サラダ油 適量
- 細ねぎ(刻み) 適量
- A酒 大さじ1/2
- A砂糖 小さじ1
- Aみりん 大さじ1と1/2
【作り方】
- ナスはへたを取り、縦半分に切り、斜めに2〜3mm幅でナスの高さの半分程度まで切り込みを入れて一口大に切ります
- 切ったナスを5分程水にさらしてアクを抜き、水気を拭き取ります
- ねぎ、しょうが、にんにくをみじん切りにします
- 耐熱容器にA、ねぎ、しょうが、にんにくを加えて混ぜ、600Wのレンジで40秒加熱します
- フライパンにサラダ油を底から1cm程度まで入れて180℃に熱します
- ナスを入れ、焼き色がついてしんなりしたら取り出します
- 軽く油を切って器に入れ、万能だれをかけてラップを落しぶたのように密着させます
- 粗熱が取れたら冷蔵庫で2〜3時間冷やします
- 器に盛り、仕上げにねぎを散らせば完成です
ナスのおかか生姜和え
ナスの甘みとおかかの香ばしさがマッチする「ナスのおかか生姜和え」。食欲がないときでもさっぱりと食べられて、夏バテを防止できますよ◎
【材料】
- ナス 2本
- A生姜(すりおろし) 1かけ
- A醤油、みりん 各小1
- A鰹節 1パック
【作り方】
- ナスはへたを取って乱切りにし、キッチンペーパーをひいたボウルに入れてラップをかけ、電子レンジで3分加熱します
- ラップをはずして粗熱が取れたら、ナスの水分を拭き取ります
- 2にAを加えて軽く和え、器に盛り付ければ完成です
ナスを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会
特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!