そもそもなすとはどんな野菜?

「なす」とは、なす科なす属の植物で、和名では「なすび」とも呼ばれます。原産地はインドといわれており、そこから東南アジアや中国、ヨーロッパなど、世界各地へと広がっていきました。
日本には、遅くとも奈良時代までには伝わったと言われており、現在では地域ごとに固有の品種が多数存在しています。味わいは甘くてクセがなく、油との相性が良いため、天ぷらや素揚げ、煮びたしのほか、生のまま浅漬けにしたり、炒め物に加えたりと様々な場面で活躍します◎
こちらの記事では、なすの旬や主な産地について紹介しています。なすとはどんな野菜なのかより詳しく知りたい人は、ぜひ合わせてチェックしてくださいね♪
なすの代表的な品種
なすには数多くの品種が存在し、在来種を含め国内に約300品種あるといわれています。なすは品種ごとに味や食感などの特徴が異なり、それによって最適な調理法も違ってきます。
ここでは、そんななすの代表的な品種を5つ紹介するので、それぞれの特徴や合う料理をぜひチェックしてくださいね!
またこちらの記事では、美味しいなすの見分け方や食べ方について詳しく紹介しています。気になる品種が見つかった人はその魅力を最大限に生かすためにも、ぜひ合わせてチェックしてみてください♪
中長ナス

スーパーに最もよく並んでいるなすは「中長なす」と呼ばれる品種です。別名は「千両なす」と呼ばれています。長さは15㎝前後で、皮は濃い紫色をしているのが特徴です。中長なすは生育が良くたくさん採れるので、全国的に広く栽培されています。
なすの中でも苦みやクセがなく、どんな料理にもよく合うので、煮る、焼く、揚げるなど様々な調理法に活用できます。
長ナス

中長なすよりも実が長く、20~25cmほどに成長する品種を総称して「長なす」といいます。秋田県の「河辺長なす」や、大阪府の「大阪長なす」など国内では在来種として育てられてきたものが多くあります。
長なすは肉質が柔らかく、コクのある甘みが特徴的で、天ぷらや揚げびたし、シンプルな焼きなすなどの料理にピッタリです。
丸ナス

「丸なす」とは、名前の通り、野球ボールくらいの大きさの丸いなすです。京都府の「賀茂なす」や長野県の「小布施丸なす」などが有名で、地域の伝統野菜にもなっています。
皮は濃い紫色、果肉はしっかりと詰まった硬めの肉質で、加熱しても心地よい歯ごたえを感じられるのが大きな特徴です。丸い形を生かした田楽や天ぷらなどの料理におすすめです。
小なす
「小なす」は、重さ10~20g、長さ8cmほどの小さくて可愛らしい見た目が特徴的な品種です。形はボールのように丸いものと、卵型のものとがあります。小なすは一般的に漬物として活用されることが多く、ぎゅっと引き締まった果肉の独特な歯ごたえを楽しめます。
からし漬けや粕漬けで有名な山形県の「民田(みんでん)なす」は小なすの代表品種で、松尾芭蕉が「おくの細道」の旅の途中に詠んだ「めずらしや山をいで羽の初茄子」という句は、民田なすのことだといわれています。
米ナス

「米なす」は、アメリカの品種を改良した大型の種類で、中長なすを3倍ほどの大きさに拡大したような見かけをしています。ヘタは緑色です。皮の色は中長なすと同様に黒紫色で、果肉は締まっており煮崩れしにくいという特徴があります。
生食にはあまり向いていませんが、縦に半分に割ってチーズをのせて焼いたり、蒸して味噌田楽にしたりと火を通して食べるとなすの味わいを存分に楽しめます。
なすの伝統的な品種
日本には、なすの在来品種も多数存在し、現在では「伝統野菜」として地域の特産品となっています。どの品種も個性豊かで味わいが良く、古くから日本の食卓を彩ってきました。
ここでは、なすの在来品種の中でも特に人気な4つの品種について詳しく紹介します。
賀茂なす
「京野菜」の一つで、丸なすの代表品種といえる「加茂なす」。江戸時代中期頃から栽培がはじまり、特に上賀茂周辺では盛んに育てられてきました。明治時代には地産品として定着し、西京味噌を使ったみそ田楽は現在でも多くの料亭で提供されています。
加茂なすは直径10cmを超える大玉でずっしりと重みがあり、煮崩れしにくいのが特徴です。しっかりと歯ごたえを感じさせつつも、舌触りは滑らかで、頬張ると口いっぱいに甘みとコクが広がります。
泉州水なす
「泉州水なす」は、大阪府南部の泉州地域を代表するブランド野菜で、「大阪泉州農業協同組合」および「いずみの農業協同組合」の登録商標となっています。
ふっくらと丸みを帯びた形が特徴的で、果肉は切ると水分が滴るほどジューシーです。また皮が薄くて柔らかく、アクも少ないため生でそのまま食べることができます。漬物やサラダ、マリネにしても美味しいですよ。
佐土原なす
宮崎県を代表する特産品「佐土原なす」は、江戸時代に佐土原藩(現在の宮崎市佐土原町・西都市・新富町)で盛んに栽培されていたことから、この名が付けられました。熊本県の「熊本赤なす」の起源ともいわれており、九州地方ではポピュラーな品種です。
佐土原なすは種が少なく、果肉も舌の上でほぐれるような柔らかさを持っているため、素材の味を生かした焼きなすで味わうのがおすすめです。
薄皮丸なす
山形県で古くから栽培されている「薄皮丸なす」は、50年以上前に新潟県から種子が持ち込まれ、そこから品質に優れたものを選抜育成したのが起源といわれています。しかし薄皮丸なすの由来は明らかになっておらず、現在も山形県の各地で栽培される人気品種ですが、その歴史は謎に包まれています。
薄皮丸なすは名前の通り皮が薄く、柔らかいのが特徴です。地元では漬物として食べられることが多く、カットせず丸ごと一晩漬けこんだ薄皮丸なすの漬物は絶品です。
なすの珍しい品種
なすは、品種によって形や大きさは違えど、おおむね黒みがかった深い紫色をしていますよね。しかし中には、変わった色をしている珍しい品種も存在します。
ここでは、これまでに紹介した品種とは見た目が大きく異なる、なすの珍しい品種について詳しく紹介します。
白ナス

「白なす」とは、名前の通り皮の色が白いなすのことを指します。なすが持つ紫色の色素は「アントシアニン」という成分由来のもので、白なすにはそのアントシアニンが含まれていないため、真っ白な見た目をしています。
一般的な中長なすに比べると皮は硬めで、天ぷらなどの揚げ物や炒め物に適しています。また加熱すると果肉が柔らかくとろけるような食感になるため、「とろなす」とも呼ばれています。
青ナス

「青なす」とは、皮が薄緑色や緑色をしているなすのことで、地域によっては白なすと区別しない場合もあります。皮は白なすと同様に皮が厚く硬いため、加熱して食べるのがおすすめです。
形や大きさによって「翡翠なす」や「緑なす」と呼ばれることもあり、青なすがよく採れる地域では田楽にして食べられることが多いです。
なすを食べてJAさがえ西村山の挑戦を応援しよう!
さくらんぼや桃、りんごなどのフルーツをはじめ、日本で有数の「米どころ」としても知られる山形県さがえ西村山地区。豊かで寒暖差のある自然環境と生産者のたしかな技術によって、「さくらんぼの王様」といわれる佐藤錦など、四季折々の美味しい食べ物を全国にお届けしています。
そんなさがえ西村山地区に拠点を置き、山形県の中央エリアを管轄するJAさがえ西村山では、2023年より「環境にやさしい栽培技術」と「省力化に資する先端技術等」を取り入れた「グリーンな栽培体系」を目指し、新たな取り組みをスタートしています。
気候変動問題が世界中のイシューとなる中で、全国の生産者にはカーボンニュートラルの実現に向けて化学肥料の低減が求められています。(みどりの食糧システム戦略)
とはいえ、化学肥料を減らすと、収入減少の怖さがあり、生産者にとって大きな負担を強いる可能性があります。そこでJAさがえ西村山では、バイオスティミュラントという新しい農業資材に着目し、生産者の負担を軽減する、新しい栽培方法の開発に挑戦しています。
【引用元】バイオスティミュラント 活用による 脱炭素地域づくり協議会

特に、栽培過程で生じる「ゴミ」である食品残渣からバイオスティミュラントを生産することで、「食品から食品」を生む環境負荷の低い栽培を実現し、気候変動に負けない、持続可能な産地を目指しています。
現在、さがえ西村山地区では「さくらんぼ」「桃」「りんご」「米」「なす」の5品目でこの取り組みを実施しているそうです。ぜひ、気候変動問題に果敢に取り組む産地の商品を購入して応援していきましょう!