栗の種類は?
栗は日本だけでなく世界各地で栽培されています。大きく分けると、日本栗・中国栗・西洋栗・アメリカ栗の4種類があります。
アメリカ栗
北米原産のアメリカ栗は別名アメリカンチェスナットと呼ばれています。品質が良く、木材としても優れている品種です。しかし1904年に発生した焼き枯れ病で壊滅状態に追い込まれ、現在では北米の一部で栽培されています。市場にはほとんど出回ることはありません。病気に弱く、日本の環境下では栽培が困難とされています。
西洋栗
南東欧または西アジア原産とされる西洋栗。イタリア・フランス・スペインと欧州広域に分布する栗です。日本栗よりやや小さく、渋皮が剥きやすく果肉が詰まっています。日本の栗に比べると粘り気は少なくなります。栗のお菓子、マロングラッセや、ポレンタなどの様々な料理に使われています。
中国栗
中国華北地方原産の甘栗(天津甘栗)。やや小ぶりで渋皮が剥きやすく、果実は締り割れにくい特徴があります。甘みが強く、炒ったものを焼き栗として食べるのが定番です。実が硬いため調理には不向きなタイプです。
生産量が多い栗品種ランキング
栗の生産量が多いトップ3の地域は、1位茨城源、2位熊本県、3位愛媛県です。このトップ3だけで全体の約45%栽培されています。
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※2024年8月のデータ栗の主な産地
茨城県
栽培面積、出荷量ともに全国1位の栗の産地は茨城県です。茨城県で栽培されている代表的な品種は丹波、ぽろたん、利平、筑波、銀寄、石鎚、岸根などです。主な産地は笠間市、かすみがうら市、石岡市です。明治30年頃から盛んに栗栽培が行われるようになりました。
熊本県
熊本県の栗栽培がとくに盛んな地域は、山鹿市、山都町、菊池市です。特に山鹿市の栗は美味しいと全国でも有名です。山鹿市では、主に丹波・筑波・ぽろたん・銀寄・利平などの品種が栽培されています。熊本県で栗栽培が盛んに行われるようになった理由は、昭和36年に果樹振興法で、重点果樹に指定されたことがきっかけでした。
愛媛県
愛媛県で栗の栽培が盛んな地方は、大洲市、伊予市、城川町です。主に栽培されている品種は銀寄、大峰、筑波、石鎚、岸根。伊予市の中山町で栽培されている栗は中山栗と呼ばれ、16世紀前後に三代将軍家光にも献上したとされています。
【2023年版】栗の人気品種・銘柄とその特徴
栗の品種は40種類以上あるとされています。その中でも、人気が高い栗の品種とその特徴をご紹介!
ぽろたん
ユニークなネーミングが特徴的な栗の品種、ぽろたん。果実が大きく食味が優れ、渋皮(内側の皮)がむきやすい画期的な栗です。栗は美味しいのですが、渋皮が剥きにくいため旬の生栗の調理に手こずることも多くあります。しかし、ぽろたんなら加熱するとポロリと簡単に剥けるので手間いらずです。果汁は30g程度。肉質はやや粉質で、果肉は黄色、甘みと香りともに良好です。ぽろたんは熊本県や茨城県、埼玉県などで多く栽培されています。ぽろたんの旬は9月中旬から下旬ごろ。
秋峰(しゅうほう)
秀峰は、筑波に524-1を交雑して育成させた品種です。果実は黄色みが強く甘いので食味良好です。トゲがやや長く、果実は筑波より小さく石鎚とほぼ同じ大きさ。果皮の毛が多いという特徴があります。旬の時期は9月下旬から10月上旬の晩生品種です。
ぽろすけ
ぽろたんと同様に渋皮(中の皮)がむきやすいので、栗の渋皮剥きが苦手な人におすすめの品種。旬の時期は8月下旬から9月上旬の早生品種です。果実はぽろたんより小さく、重さは21g程度。ぽろたんや丹沢と比較すると、果肉の色が薄黄色で甘みや香りも若干少なくなります。肉質はやや粉質でホクホクしています。ぽろたんと併せて栽培されることが多いです。
美玖里(みくり)
9月下旬から10月上旬に旬を迎える晩生種の美玖里(みくり)。石鎚と秋峰の組み合わせから誕生しました。全国で栽培されており、甘みと香りが強く、果肉の色と食味が優れた優秀な品種です。肉質はホクホクとした粉質。筑波の後に収穫でき、果実は28g程度と大きい。果皮は美しく外観も優れています。
岸根栗(がんねぐり)
岸根栗は山口県坂上村に逃れた平家の落ち武者が、大字岸根の白瀧山に白を築いたとき、その山に自生していた栗に広島から取り寄せた穂木を接木し、近隣の農民にも伝授したことが起源とされています。
岸根栗は30~40g。大粒の丹波栗を凌ぐ大きさです。肉質は粉質が強く、食味も優秀。大正2年、全国栗品種名称調査会で510種類の中でも優秀品種として評価された程です。岸根栗は、山口県、愛媛県、茨城県で多く栽培されています。
筑波栗(つくばぐり)
筑波栗1949年に岸根と芳養玉(はやたま)を交雑させた品種。中生種の筑波栗は、安定して栗が沢山採れることから日本で最も広く栽培されている品種です。重さは28g程度、頂上がやや尖り、栗らしい形をしています。先の周囲が粉を吹いたように白くなっているものが多い特徴があります。果肉は淡い黄色ですが甘みがあり、香気があります。筑波栗の旬は9月中旬から10月下旬頃です。
丹沢栗(たんざわぐり)
1949年に乙宗と大正早生を交配させ誕生しました。1959年にくり農林1号として農林水産省に認定された栗の品種。筑波・銀寄に続いて生産量が多く、日本各地で栽培されている人気品種の1つです。旬の時期は8月下旬から9月中旬頃。収穫時期が早い早生種です。外観はやや大粒で先端が尖っています。外皮にツヤは少なくて色が薄い。裂果が多いという特徴があります。
銀寄栗(ぎんよせくり)
1753年に広島県から持ち帰った栗の木を大阪で植えたことで誕生した品種です。銀寄栗は、江戸時代後期に起こった大きな飢饉の頃、多大な利益を出したことから銀寄と名付けられました。銀寄栗は全国各地で栽培されている人気の品種。上品な甘さとホクホクした食感が特徴的です。形は平たく、表面にはツヤがあります。旬は9月中旬から10月頃です。
利平栗(りへいぐり)
1940年に岐阜県山県郡大桑村の土田健吉氏が日本産の栗と中国栗を掛け合わせて育成した品種です。栗の王様と称される利平栗は、ふっくらとして丸い形、粒の上部には産毛が沢山生え、色が濃い特徴があります。果肉は適度に粉質で食感が良好。甘みが強くとっても美味しい栗です。利平ぐりの有名産地は埼玉県、熊本県、東京都です。旬は9月初旬頃から11月初旬頃まで続きます。
石鎚(いしづち)
石鎚は岸根と笠原早生を交配して育成させた晩生種。外見、食味ともに良好で、甘露煮など加工品としても適している品種です。1941年に岡山県で発見されたクリタマバチは、日本各地に蔓延し、栗の栽培に壊滅的な被害を加えることになりました。その問題を解決すべく育成されたのは、クリタマバチに対する抵抗がある品種。1959年に誕生したのが、丹沢・伊吹・筑波の3品種、この流れで石鎚も誕生しました。
石鎚は扁円で粒の重さは20~25g程度。果皮は赤褐色でツヤがあります。果肉は淡い黄色。粉質ですが煮崩れしにくく貯蔵性が高いため、加工用としても用いられています。
まとめ
一口食べるとそのホクホクとした食感と優しい甘さの栗は、秋を代表する人気の味覚です。毎年食べている栗がどの品種で、どこで栽培されていた栗なのか、今まで考えたことがなかった人は、ぜひ品種や産地を絞って購入してみてはいかがでしょうか。きっとあなた好みの味に出会えるはずですよ!
【参考サイト】