はじめに
ミョウガは、みずみずしい食感と独特の香りを持つ香味野菜です。日本では古くから食用にされてきました。
ミョウガは多年草のため、庭に植えておくと1つの株から複数年続けて収穫することができます。6月~9月頃にかけて旬を迎えるミョウガの栽培では、病気の発生に注意が必要です。
今回は、ミョウガがかかりやすい病気とその予防法・対処法をご紹介します。
ミョウガ栽培で注意したい病気
根茎腐敗病
根茎腐敗病は、Pythium zingiberumという糸状菌(カビ)が原因となって発生する病気です。カビが根に感染して腐敗させ、養分の吸収を妨げて生育を阻害します。
根茎腐敗病は6月下旬から地上部に症状が現れるようになります。はじめに株の下の方の葉が黄色に変色し、やがて茎が淡黄色に変化して枯れます。放置しておくと、茎が軟化して倒れてしまいます。
根茎腐敗病の菌は水分を好むため、水はけが悪く、降雨が続く時期は発生しやすくなります。また、一度根茎腐敗病に感染すると、その株を除去した後も土壌中に胞子や菌糸が付着した植物の残渣が残って再発します。そのため、翌年以降の収穫にも大きな影響が出ます。
予防法・対処法
発病した株はすぐに除去しましょう。感染が拡大しないよう、畑の外で処理します。
肥料切れが起こらないように施肥管理に注意しましょう。また、多湿条件で発生しやすいため、水はけをよく保つように心がけましょう。
前の年に根茎腐敗病が発生した畑では、菌が残存していて再発する恐れがあります。植え付け前に土壌の消毒をおこなうとよいでしょう。
いもち病
ミョウガのいもち病は、Pyricularia zingiberiという糸状菌(カビ)が原因となって発生する病気です。梅雨の後半にあたる7月上旬から発生が始まり、梅雨が明けると収束します。
初期には、葉や葉鞘(茎と接している葉の付け根の部分)に直径5㎜ほどの円形の病斑が生じます。病斑は中心部分が灰白色で、周縁部は淡黄色をしています。
進行すると、病斑は拡大し、内部に同心円状の輪が複数見られるようになります。放置しておくと病斑部は乾燥し、褐色になって枯れます。病斑の裏側では黒灰色の煤のような胞子が観察できます。
いもち病は、被害が多発しない限りミョウガの収穫にはそれほど影響がありません。葉枯病や日焼け症と症状が似ていますが、葉枯病の場合には病斑が不定形に生じて葉が枯死することから区別します。日焼け症は、病斑部に同心円状の輪紋が生じないことから見分けることができます。
予防法・対処法
水のやりすぎに注意しましょう。また、枯れた葉はこまめに除去し、株の根元の風通しを良く保ちましょう。
葉枯病
葉枯病はMycosphaerella zingiberiという糸状菌(カビ)によって引き起こされる病気です。5月中旬以降に株の頭頂部の新芽を中心に感染します。
初期には小さな白色の病斑ができ、症状が進行するにしたがって葉脈に沿って大きくなっていきます。放置しておくと、病斑上に黒色の小さな斑点が見られるようになり、病斑部は黒褐色に変色して枯れます。
葉枯病は、成長しきった葉においては感染が見られない病気です。日焼け病とも症状が似ていますが、葉枯病では病斑の中心に小さな黒色斑点が生じることから見分けることができます。
予防法・対処法
発病した株は除去して畑の外で処分し、残渣が残らないように注意しましょう。また、多湿な環境で発生が助長されるため、畑の水はけをよく保つことが大切です。
白星病
白星病はPhyllosticta zingiberiというカビによって引き起こされる病気です。
主に6月下旬以降に発生し、株の頭頂部の新芽に病斑が形成されます。病斑は円形で、白色の小さな斑点状をしています。多発すると病斑同士が筋状につながって大きくなり、葉が枯死することがあります。
6月下旬より前に成長して展開した葉には症状が見られないことから、薬害や他の病気との判別が可能です。病斑は秋になると5~10㎜ほどに拡大し、中央部に黒色の小さな斑点が生じます。
予防法・対処法
発症した葉や茎は除去しましょう。
また、水のやりすぎに注意し、排水がよい土壌環境を整備しましょう。
白絹病
白絹病はCorticium rolfsiiという糸状菌(カビ)によって引き起こされる病気で、ミョウガだけでなくインゲンやダイズなどのマメ科、タマネギなどのユリ科、キャベツなどのアブラナ科をはじめ多数の作物に感染します。
症状は収穫期の花に見られることがあります。花に白い菌糸が網のようにかかっていたら白絹病です。また、地面近くの茎でも発病し、花と同様に白色の網状の菌糸が見られます。
多湿な環境下で比較的気温が温暖になると発病します。稲わらや雑草を含む多くの植物に発生する病気のため、畑に落ち葉やワラを敷く際にも菌が付着していないかどうかを確かめる必要があります。
予防法・対処法
発症した葉や茎はすぐに除去しましょう。
また、水のやりすぎに注意し、排水がよい土壌環境を整備しましょう。梅雨の時期や秋の雨が多い時期には特に注意が必要です。
日陰を作って地表面の温度を下げることも効果的です。また、一度発生した畑では、植えつけの前に土壌の天地返しをおこなったり、畑に一定期間水をためておいたりすることで菌を死滅させる方法もあります。
ミョウガを健康に育てるために
風通しのよい環境で、施肥管理や水やりに注意しながら栽培をおこなうことが、ミョウガを健康に育てるための基本です。万が一病気に感染した場合には、病状に合わせて適切に葉の除去や株の抜き取りをおこなってください。
害虫による食害が病気の感染をもたらす場合も少なくありません。ミョウガに発生しやすい害虫については、こちらの記事をご覧ください。
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ミョウガを健康に育てて、夏の暑さを乗り切りましょう。