ヨトウムシ
夜間に株間から出てきた幼虫がキャベツの葉表の薄皮を残して食べ進みます。幼虫をそのまま放置しておくと、他の部位にも食害をもたらすようになります。幼苗期に多発すると、葉の成長が止まってしまうこともあります。
対処法
ヨトウムシはキャベツの葉の裏に大量に卵を産み付けます。日ごろから葉の裏側をよく観察し、ヨトウムシを見つけたらふ化しないうちに葉ごと処分しましょう。成長すると、昼間は土の中に隠れているようになるため、被害が出ているのに見つからないという場合は土の中を探して駆除しましょう。
アブラムシ
小さな黄色や黒色の虫で、高い繁殖力を持っており大量に発生します。主に葉の裏に群生して吸汁し、葉の萎縮や生育阻害を引き起こします。排泄物によって葉がベタベタになるだけでなく、ウイルス性の病気を媒介したり、アリを誘因したりします。
対処法
アブラムシを駆除するためにテントウムシを利用する方法があります。テントウムシは1匹あたり10~100匹ほどのアブラムシを捕食すると言われており、ビニールハウスをはじめ、テントウムシが逃げにくい環境の中でアブラムシを駆除したいときにおすすめです。
また、アブラムシの排泄物をもらう代わりにアブラムシを守っているアリを駆逐することでアブラムシを減らす方法もあります。アリはアブラムシと共存関係にあるため、アリを取り除くことでアブラムシを排除することができます。
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コナガ
幼虫は葉裏に寄生し、表皮を残して食害を引き起こします。コナガによる被害を被ると、葉は表面から見て白斑状になります。
コナガの成虫は背面にダイヤ型の模様を持っています。また、幼虫は他の害虫の幼虫と比較して小さく、10mm程度しかないのが特徴です。
対処法
コナガはアブラナ科の植物に多く発生します。そのため、周囲にアブラナ科の植物がある場合は注意が必要です。特に、雑草はしっかり駆除しておくようにしましょう。
また、コナガは非常に水に弱いため、定期的に散水をすることによっても効果的に駆除することができます。
アオムシ(モンシロチョウ)
幼虫が葉脈を残して葉を食い荒らします。小さな虫ですが、大量発生すると大きな被害をもたらすため注意が必要です。
対処法
防虫ネットを用いると、成虫であるモンシロチョウがキャベツに産卵するのを防ぐことができます。もしもアオムシが発生した場合は速やかに捕殺し、大量に発生する前に薬剤を使用するとよいでしょう。幼虫は成長すると薬剤が効かなくなっていくため、早期散布を心掛けましょう。
オオタバコガ
オオタバコガの幼虫は体の表面に細い毛が生えており、1匹だけでも次から次へと被害をもたらします。キャベツの葉に5mm程度の穴をあけて結球内部に潜り込み、食害を引き起こします。
また、繁殖力が強いという点でも手強い害虫です。雌1匹あたりの産卵数は、オオタバコガでは1,000~2,000個、タバコガでは500~600個ほどといわれており、産卵を阻止するためには成虫になる前に駆除する必要があります。
対処法
日頃から注意深くキャベツの状態を観察し、卵が産みつけられていないかをよく観察しましょう。防虫ネットを用いて成虫の産卵を防ぐ方法も有効です。
アザミウマ
アザミウマの幼虫は、葉や果実を吸汁して被害を及ぼします。成虫も同様に、葉や果実に寄生して食害を引き起こします。様々な植物に発生するため、複数の作物を同じ場所で育てている場合や、雑草が多い場所では特に注意が必要です。
対処法
アザミウマは成虫になっても地面の近くにいることが多いため、農薬や天敵による効果が上がりにくいという手強い害虫です。キャベツに限らず様々な植物に寄生するため、周囲の雑草は丁寧に取り除くようにしましょう。また、マルチを張ることによって成虫の飛来が防げるほか、蛹化にも対処することができます。
アザミウマが 発生した畑では蒸しこみによる処理を行いましょう。大量発生してからでは薬剤も効きにくくなるため、発生の初期に防除を行うことが重要です。
ナメクジ
新芽をはじめ、株の柔らかい部分を好んで食害を起こします。幼苗期にナメクジの被害を受けると、苗の成長が止まってしまいます。
対処法
ナメクジはプランターやブロックなどの下に隠れていることが多いため、被害が疑われる場合にはプランターやブロックを動かして駆除しましょう。卵を見つけた場合も一緒に処分します。ナメクジは夜行性のため、夜間に株を観察して見つけ出すこともできます。
終わりに
今回は、キャベツに発生する害虫の見分け方と対処法についてご紹介しました。農薬に頼らずに対処できれば一番よいのですが、特に大量に発生した場合には薬剤を使った対処も有効です。本ページの農薬データベースの対象農作物の欄に「キャベツ」、適用病害虫に害虫名を入力すると、害虫の防除に適した薬剤が出てきます。併せてご参照ください。
また、キャベツ栽培では、病害虫以外が原因となって異変が起こる場合もあります。周囲の環境が要因となって発生するべと病や軟腐病などのキャベツの病気 についても、知識として覚えておきましょう。