特徴
「まりひめ」の果実の形は章姫ゆずりの縦長の円錐形で粒揃いがよく、平均果重は約18gと比較的大き目のものが多く収穫できるようです。そう果の窪みはやや浅めでそう果の色は黄色から赤です。果皮の色はやや明るい鮮赤で、ガクの下も含め全体によく色付いています。果肉は固めで、「章姫」と「さちのか」の中間くらいとされ、色は中心部分が薄い橙赤で、まわりは結構濃い赤色をしています。果心の空洞は小さめです。一口食べるとコク深い甘さと優しい香りが広がり、飲み込んだ後も濃厚な余韻を楽しむことができます。果肉はややしっかりめで心地よい歯ごたえを感じ、食べ応え十分です。
旬の時期
まりひめは「さちのか」と比較して、収穫開始が2週間以上早い12月上旬からとなっています。食べ頃の旬の時期は1月~3月となります。収穫開始時期は12月上旬で「さちのか」に比べて2週間以上早いとされています。
味
酸味よりも甘味が強く、口に含むと濃厚な甘さが広がり、いい香りが鼻に抜けていきます。この香りの強いことも品種の特徴のようです。
歴史
まりひめは和歌山県が開発したより早い時期に出荷を可能としたオリジナル品種です。和歌山県ではこれまで「さちのか」を中心に栽培されていましたが、「さちのか」は収穫が始められる時期が遅く、それに代わる早生種の必要性が高まっていました。そこで、県が主導となって開発が行われ、2003年に、「章姫」を子房親とし、そこに花粉親として「さちのか」を交配てできた実生から選抜育成し、新しいオリジナル品種「まりひめ」が生み出されました。2008年に品種登録出願、2010年に品種登録されました。名称は和歌山県の郷土工芸品「紀州手まり」のように親しまれるようにという意味がこめられているそうです。
産地
まりひめは和歌山県のオリジナル品種として、県内でのみ栽培されています。本格的に栽培出荷が始まったのが2011年頃からで、2022年現在も生産量は増えつつあるようですが、他府県での流通量はまだまだ少なくあまり見かけることはありません。和歌山県のホームページによると、2020年の時点で199戸が17.8haのハウスで栽培していると紹介されています。