日本酒初心者必見!種類ごとの特徴と選び方
日本酒を選ぶ際に必ず耳にするワード、大吟醸、純米吟醸、本醸造。これは日本酒の製法により分類したものです。まずは、この違いを知ることから始めましょう。
日本酒とは
日本酒は米、水、米麹を原料として造られ、これを純米酒と呼びます。ラベルに純米と記載がない日本酒は、醸造アルコールが加えられ、その割合が10%以下であれば本醸造酒となります。醸造アルコールを適量加えると、香りが高くすっきりとした味わいになり、清酒の味を劣化させる乳酸菌の増殖を防止する役割があります。
日本酒の種類には醸造アルコールを添加しているかどうかの有無の他に、お米の磨き具合を表す精米歩合により、大吟醸、吟醸のグレードが変わります。
精米歩合
精米歩合とは、精米した後に残った白米の割合を表します。普通、お米を食べるときは玄米から白米へ精米しますが、日本酒醸造の際も同じ方法を用います。玄米の状態を100%として、40%磨けば精米歩合は60%となります。精米歩合が低ければ低いほど、同じ量のお酒を造るのに多くの玄米が必要になるので、基本的には精米歩合が高いほうが値段が高くなります。お米の中心部はでんぷん質で、外側はたんぱく質。たんぱく質はお酒の雑味につながるため、より多く磨くほど雑味が少なく、すっきりしたお酒になります。
特別純米酒・特別本醸造酒の特別とはどういう意味?
純米酒と本醸造酒には特別な名前が付いている場合があります。これは、精米歩合が60%以下、または特別な方法で製造している日本酒に特別の名前を付けることができます。
精米歩合60%以下で醸造したが、吟醸酒に値するまでの醸造方法をとっていない場合も当てはまりますが、同じ蔵内で造られている純米酒が本醸造酒と比べて明らかに原料や製法に違いが場合も特別と付けられる場合があります。
商品の特徴によって、特別と付けられることが多いので、特別純米酒や特別本醸造酒を選ぶ際は、なぜ特別と明記されているのかを考えるのも面白いものですよ。
特定名称酒の吟醸酒・大吟醸酒
日本酒の中でも高級とされる種類は、吟醸酒・大吟醸酒。この種類の日本酒は、発酵させるときに低温に保ち、ゆっくりと時間をかけて醸造され、独特のフルーティな香り(吟醸香)が生まれます。吟醸と大吟醸の作り方は同じですが、お米の使い方にそれぞれ決まりがあり、味の違いにも繋がります。
特定名称酒の本醸造酒
醸造酒は普段の晩酌用にも飲みやすい品種なので、普段の晩酌用にも用いやすい品種です。本醸造酒は、それよりもちょっとこだわって造ったお酒のメージです。醸造の際、米・米麹・水とアルコールを添加して醸造されています。
特定名称酒の純米酒
最近の人気の日本酒と言えば純米酒です。純米酒は米・米麹・水のみで造られた純粋な日本酒のことです。添加物を用いないので高度な技が必要とされる品種。お米の味わいが深く、ふくよかな味が特徴です。
アルコール度数
日本酒ときくと、アルコール度が強いイメージがありますが平均は15%前後です。清酒に分類されるには、酒税法上、アルコール度数22%未満と定められています。ちなみにビールのアルコール度数は5%。基本的にビールよりアルコール度数が高いので、お酒初心者の人にはとっつきにくいからと避ける人もいるかもしれませんが、最近では日本酒のバリエーションが増えています。たとえば、シャンパンのような微発砲日本酒やロゼワインを彷彿とさせるピンク色のかわいらしい日本酒など、様々なものが登場しています。
初心者におすすめ!飲みやすくておいしい日本酒
日本酒には、甘口・辛口があり味に違いがあります。これは、麹のはたらきが米から糖の甘みを引き出すためです。酵母の力が強ければ辛めに仕上がり、逆に酵母の力が弱ければ甘口に仕上がります。
甘口から辛口に影響を与えるもの
甘辛の違いは、糖の多さだけで決定されるわけではありません。日本酒度や酸度、苦みや渋み、ガス感など、様々な要因が加味されて甘辛の違いに結びつきます。
日本酒度
日本酒度は甘さと辛さの目安になる数値で、酒の比重のことです。日本酒度計という浮きばかりを使って測定されます。日本酒時計はお酒に浮かべると、水より重いと浮き、水より軽いと沈むようにつくられています。数値が-1.4~+1.4が普通になり、+1.5~+3.4はやや辛口、+3.5~+5.9は辛口、+6以上は大辛口となります。逆に、-1.5~-3.4はやや甘口、-3.5~-5.9は甘口、-6以上は大甘口となります。日本酒度は糖分の含有量を示すものではなく、酒の比重のみを表します。
酸度
酸度が高い日本酒は辛口に感じるとされています。日本酒に含まれる酸とは、酒の味に酸味や旨味をもたらす有機酸(乳酸、コハク酸、リンゴ酸など)のことです。
アミノ酸度
アミノ酸度は、日本酒に含まれている旨味成分のもとのアミノ酸の量を表した数値のことです。数値が高ければ旨味が増し、コクなどを感じられます。数値が低いと、甘みや酸味の味わいが際立ち、酒質がスッキリと感じられるようになります。
酒の成分と味わいについて
きき酒で日本酒の甘い、辛いを判定することは難しく、酒ききのベテランでさえ困難なこととされています。エキスの分量が同じ酒でも、酸が多かったり香りが高い酒はやや辛く感じ、酸が少なければ甘く感じます。さらに、酒の温度やきき酒の前に食べたものによっても左右されるため、いざ口に含んだときの甘辛の判定は曖昧なものなのかもしれません。
初心者にもおすすめ!日本酒の品種・ブランド
日本各地で様々な蔵元で日本酒が造られており、品種・ブランドの種類は数えきれないほどです。その中でもおすすめしたい地酒をご紹介します。
田酒
田酒は青森県の蔵元「西田酒造店」が醸造している日本酒のことです。西田酒造店では、すべての工程を手造りで行うことにこだわり、今も尚、その手造りで日本酒を醸造することを貫いています。日本酒の製法では、醸造用アルコールや醸造用糖類を添加することが一般的になりますが、田酒には一切使用していません。そのため、米の旨味が濃縮され、雑味のない豊かな味わいを実現しています。田酒の人気は日本のみならず海外からも高い評価を得ています。
まんさくの花
まんさくの花の蔵元「日の丸」は元禄2年創業の老舗蔵元。タンクごとに酒米や造りを変えて仕込みを行い、一切ブレンドせずに出荷されています。低温瓶貯蔵で1年以上寝かせ、上品な風合いを生み出しています。まんさくの花からはバリエーション豊かに販売され、中にはほんのり甘くて微炭酸の「まんさくの花 微炭酸の美味しい日本酒」もあるので、日本酒初心者の人や女性にもおすすめです。
而今(じこん)
2004年に発売された而今(じこん)は、全国の酒処でも目にすることが多い人気の銘柄です。三重県名張市の地酒で、200年以上の歴史がある蔵元が洗米からすべて手作業で醸造した日本酒ブランド。市場に出回る本数が少なく、プレミア価格が付くことも多い日本酒です。而今には多くの銘柄がありますが、主な特徴はフルーティーで華やかな香りとすっきりとクリアな甘み。そして、日本酒特有の透明感のある苦み全てにおいて絶妙のバランスがあると称賛されています。口当たりがいいので、日本酒初心者の人や女性にもおすすめです。
日本酒を楽しむコツ!おすすめの飲み方と料理との相性
日本酒を楽しむなら、酒器や料理との相性は欠かせません。これから日本酒の深みにハマろうとしている人は、ぜひ参考にしてください!
温度やグラス選びで味わいが変わる!
日本酒は奥が深く、品種やブランド、日本酒の種類だけではなく、温度や酒器によっても味わいが異なります。楽しく日本酒を嗜むためにも、お気に入りの酒器を眺めながら一人で晩酌も乙なものですよ。
温度(冷酒~冷や~燗酒)
日本酒は冷酒から燗酒まで、幅広い温度で味や風味の違いを楽しめるお酒です。5~20度の冷酒では、香りが和らぎスッリした口当たりが楽しめます。あまりお酒が得意ではないという人には冷酒での飲み方がおすすめです。
20~25度の冷や(常温)では、銘柄本来の味わいや香りを楽しむことができます。燗酒の30~60度はお酒の香りや味わいが際立ち、深いコクを感じることができます。日本酒の温度が高くなればなるほどドライな飲み口になります。
酒器
酒器には、徳利(とっくり)とおちょこ、グラス、ワイングラス、錫製(すず)の酒器など様々な種類があります。陶器や磁器で造られている徳利やおちょこで日本酒を飲んだときは、口当たりが柔らかくなります。磁器製の酒器は華やかな絵柄が入ったものが多く、見た目も楽しめます。グラスは冷酒との相性が良い酒器です。見た目も涼しげなグラスでは、縁が薄いので口当たりが良くなります。
ワイングラスに日本酒を注ぐと、香りが立ちやすく、フルーティーで華やかな香りを引き立ててくれます。見た目もおしゃれに演出できるので、デートにも最適です。錫製の酒器で飲むとまろやかな味わいに変化します。また、熱伝導率が良いので、熱燗や冷酒の味わいを損なわず、優れた浄化作用により雑味が抜けてお酒の味が整います。
和食から洋食まで幅広くマッチングする料理
日本酒にマッチする料理は和食だけでなく洋食や中華との相性も良く、普段飲みなれたビールやハイボールとはまた違う味わいを楽しむことができます。
吟醸酒
淡泊な料理に合う
白身魚の刺身、鯛の酒蒸し
純米酒
塩辛、珍味、魚卵、鰻の蒲焼
本醸造酒
幅広い料理に合う
刺身、焼魚、おでん、焼き鳥、鍋物
樽酒
和洋中、香辛料や濃い味付けにも
豚の角煮、ステーキ
古酒
濃厚な味付け、油っこい料理、肉料理、洋食、中華
酢豚、オイスター炒め
普通種
刺身、焼魚、鍋物
生酒
脂っこい料理にも
唐揚げ、ソーセージなどのビールのおつまみにも
まとめ
日本酒は奥が深いと耳にしたことが一度はあると思いますが、日本各地の様々な蔵元から銘柄が販売され、その中にはシリーズものも出ています。さらに、醸造の違いでも味が異なり、温度、酒器、料理によってもその味わいが異なります。通になるにはかなりの時間と知識が必要になりそうですが、だからこそ面白く、日本酒の深みにハマる人が多いのではないでしょうか。地域の蔵元では飲み比べや販売を行うところもあります。ぜひ足を運んでください!