柑橘類の栄養は?健康効果や食べ過ぎ、調理の注意点を紹介

柑橘類の栄養は?健康効果や食べ過ぎ、調理の注意点を紹介

みかんやオレンジなど、さわやかな甘みと特有の香りが楽しめる柑橘(かんきつ)類は、私たちにとって身近な果物のひとつ。そんな柑橘類にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか。 この記事では、柑橘類に含まれる栄養素とその働きや効果的な食べ方などについて解説します。柑橘類に該当する果物の1日当たりの適量などについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

柑橘類に含まれる栄養素と効能

柑橘(かんきつ)類には、体を若々しく保つのに必要なビタミンCやポリフェノール類をはじめ、さまざまな成分が含まれています。

ここでは、主な柑橘類に含まれる栄養成分やその働きについて詳しく見ていきましょう。

コラーゲンをつくる「ビタミンC」

柑橘類にはビタミンCが含まれています。ビタミンCは、皮膚や軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」をつくるのに不可欠なのがビタミンです。

ビタミンCが欠乏してコラーゲン合成ができなくなると、血管がもろくなり出血しやすくなったり、肌のハリや弾力が失われたりします。また、体内に増えすぎると老化を引き起こす「活性酸素」の働きを抑えたり取り除いたりする抗酸化物質としても働きます。

その他、ビタミンCは鉄の吸収を高めるなど体内でさまざまな働きを担っているため、多く含む果物や野菜などを積極的に摂取しましょう。

状態など ビタミンC
いよかん 35mg
うんしゅうみかん ネーブル/生 60mg
オレンジ 皮なし/生 60mg
グレープフルーツ 白肉種/生 36mg
グレープフルーツ 紅肉種/生 36mg
なつみかん 38mg
はっさく 40mg
ひゅうがなつ 26mg
ぶんたん 45mg
かわちばんかん 36mg
きよみ 42mg
しらぬい 48mg
せとか 57mg
はるみ 40mg
レモン 全果/生 100mg

塩分(ナトリウム)の摂りすぎに役立つ「カリウム」

体に欠かせない栄養素「ミネラル」の一種が、柑橘類にも含まれているカリウムです。カリウムは、同じくミネラルの一つであるナトリウムとともに体内の浸透圧調整に関わっています。

カリウムには、体内に増えすぎたナトリウムを体の外へ排出してくれる作用があります。ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂りすぎると高血圧の原因となります。つまりカリウムは塩分の摂りすぎを調節してくれる栄養素であるといえるでしょう。

その他カリウムは神経伝達や筋肉の収縮にも関わっています。

状態など カリウム
いよかん 190mg
うんしゅうみかん ネーブル/生 150mg
オレンジ 皮なし/生 180mg
グレープフルーツ 白肉種/生 140mg
グレープフルーツ 紅肉種/生 140mg
なつみかん 190mg
はっさく 180mg
ひゅうがなつ 130mg
ぶんたん 180mg
かわちばんかん 160mg
きよみ 170mg
しらぬい 170mg
せとか 170mg
はるみ 170mg
レモン 全果/生 130mg

体内でビタミンAに変換される「β−カロテン」

同じ柑橘類でもβ−カロテンの含有量はまちまちです。一般的にオレンジ色が濃いほどβ−カロテンが多い傾向があるようですね。

β−カロテンは、体内でビタミンAにつくり変えられる「プロビタミンA」と呼ばれる物質です。食品から摂取されたβ−カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAにつくり変えられます。

また、黄色〜赤色を呈する天然色素「カロテノイド」の一種でもあるβ−カロテンは、体内で抗酸化物質として働きます。つまりβ−カロテンを十分摂取することで体を若々しく保つことに役立つといえるでしょう。

状態など β−カロテン
いよかん 21μg
うんしゅうみかん ネーブル/生 180μg
オレンジ 皮なし/生 23μg
グレープフルーツ 白肉種/生 0μg
グレープフルーツ 紅肉種/生 400μg
なつみかん 22μg
はっさく 21μg
ひゅうがなつ 1μg
ぶんたん 15μg
かわちばんかん 38μg
きよみ 200μg
しらぬい 48μg
せとか 38μg
はるみ 130μg
レモン 全果/生 7μg

カロテノイドの一種「β−クリプトキサンチン」

柑橘類の色素に含まれるカロテノイドとして知られているのがβ−クリプトキサンチン。β−カロテンもカロテノイドの一種ですから、β−クリプトキサンチンはβ−カロテンの仲間であるといえます。

β−カロテンと同じように抗酸化物質として老化防止に作用するほか、プロビタミンAとしても作用する物質です。

β−カロテン同様、β−クリプトキサンチンが含まれていない柑橘類もあります。

状態など β−クリプトキサンチン
いよかん 270μg
うんしゅうみかん ネーブル/生 1,700μg
オレンジ 皮なし/生 210μg
グレープフルーツ 白肉種/生 0μg
グレープフルーツ 紅肉種/生 4μg
なつみかん 190μg
はっさく 180μg
ひゅうがなつ 130μg
ぶんたん 0μg
かわちばんかん 7μg
きよみ 690μg
しらぬい 630μg
せとか 1,400μg
はるみ 1,100μg
レモン 全果/生 130μg

ポリフェノールの一種「ヘスペリジン」

柑橘類の皮、特に外皮の裏の白い部分(中果皮)に多く含まれる有効成分がヘスペリジンです。

ポリフェノールの一種で、抗酸化作用のほか血流促進や血圧上昇抑制などさまざまな機能性が報告されており、ヨーロッパでは医薬品として利用されている成分でもあります。

柑橘類は1日何個まで?どこからが食べ過ぎ?

健康効果が期待できる成分が含まれる柑橘類ですが、1日当たりの適切な摂取量はどのくらいなのでしょうか。

食べすぎた場合の影響なども踏まえてみていきましょう。

1日に食べる柑橘類の目安

農林水産省「食事バランスガイド」によると、果物の摂取目安量は1日当たり200g(可食部)程度。柑橘類は種類によって大きさに違いがあるため、1日当たりの適量はそれぞれで異なります。

皮など食べられない部分を考慮した場合の、200gの目安はだいたい以下のようになります。

目安量
うんしゅうみかん 約2個
オレンジ 約2個
グレープフルーツ 約1個
なつみかん 約1個
はっさく 約1個
ひゅうがなつ 約1個
ぶんたん 約1個
かわちばんかん 約1個
きよみ 約2個
しらぬい 約2個
せとか 約1個
はるみ 約1.5個

一般的な大きさを目安に算出したものなので、小さめのものや大きめのものは調節して食べてくださいね。

食べすぎると・・・?!

柑橘類をはじめ、果物には糖質が含まれています。他の果物と比較して特別多いわけではありませんが、食べすぎは糖質の摂りすぎにつながり、肥満や生活習慣病の引き金となりかねません。

またβ−カロテンやβ−クリプトキサンチンなどカロテノイド色素を多く含む柑橘類を食べすぎると、手のひらや足の裏の皮膚が黄色くなる「柑皮症(かんぴしょう)」を引き起こすことがあります。健康には問題なく原因となる柑橘類の過剰摂取をやめれば改善しますが、症状が強い場合は全身が黄色くなることがあるため気をつけてくださいね。

柑橘類の健康効果を最大限に活かす!調理のNG

皮にも栄養がたっぷり含まれている柑橘類。柑橘類の栄養成分を最大限に取り入れるなら、皮も利用するのがおすすめです。

皮をマーマレードに

オレンジやグレープフルーツ、夏みかんなどの皮をマーマレードにしているという方も多いかもしれませんね。柑橘類の皮にはβ−カロテンやβ−クリプトキサンチンのほか、皮の裏の白い部分には血流促進作用のあるヘスペリジンが多く含まれています。

マーマレードにする柑橘類は、皮が厚めのものがおすすめです。白い部分はヘスペリジンが多いとはいえ、残しすぎると苦味が出てしまうため適度に取り除きましょう。

柑橘類の皮はマーマレードのほか、すりおろしてドレッシングに加えたり甘酢漬けにしたりしても美味しいですよ。

みかんの皮は乾燥させて「陳皮(ちんぴ)」に

みかんの皮を乾燥させて作る「陳皮(ちんぴ)」は、漢方薬としても用いられています。自宅で食べ終わったあとの柑橘類の皮をよく洗い、天日干しすれば陳皮が作れます。スパイスとして料理に使ったり少量お茶や白湯に加えて飲んだりするのもおすすめですよ。

良い香りでリラックス効果が得られるほか、ヘスペリジンの効果により、冷えを解消したり胃の健康を維持したりする効果が期待できるでしょう。

まとめ|柑橘類はこんな人におすすめの果物!

柑橘類にはビタミンCやカリウム、カロテノイドなど、体を若々しく健康に保つことに役立つ成分が多く含まれています。皮まで有効活用して、柑橘類の栄養を存分に取り入れましょう。


【参考サイト】

日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省
厚生労働省eJIM | ビタミンC | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト
カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
ナトリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本人の食事摂取基準(2020年版)|1―7 ミネラル|厚生労働省
抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
1―6 ビタミン|日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省

SHARE

Xシェアボタン facebookシェアボタン lineシェアボタン ポケットシェアボタン はてなブックマークシェアボタン noteシェアボタン
鈴木 亜子

鈴木 亜子 Suzuki Ako

管理栄養士

管理栄養士。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病どさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野の記事執筆などを行う。

関連する記事

栄養に関する記事

みかん・柑橘類に関する記事

人気の記事