栗の栄養は?健康効果や食べ過ぎ、調理の注意点を紹介

栗の栄養は?健康効果や食べ過ぎ、調理の注意点を紹介

秋の味覚といえば栗ですが、栗は美味しいだけでなく栄養価も高い果物です。栗には食物繊維やビタミンミネラルなどが含まれていますが、これらの栄養素にはどんな働きがあるのでしょうか。この記事では、栗に含まれる主な栄養素やその働き、効果的な食べ方などについて詳しく紹介します。栗に含まれる栄養が気になる方は、ぜひ参考にしてくださいね。

栗に含まれる栄養素と効能

農林水産省の分類では果物、文部科学省「日本食品標準成分表」では種実類に分類される栗。栗には食物繊維ビタミンCなど、人体に欠かせない栄養素が含まれています。

ここでは栗を食べることで摂取できる主な栄養素やその働きについて詳しく見ていきましょう。一般的な果物のほか、比較されることの多いさつまいもやかぼちゃとも比較しています。

整腸作用などさまざまな効果が期待できる「食物繊維」

食物繊維とは食べ物に含まれる栄養素のうち、ヒトの消化酵素で消化されない成分の総称です。消化されずに大腸まで届き良い影響をもたらします。

食物繊維の効果で良く知られているものは便通を整える作用です。食物繊維の十分な摂取によって便のカサが増えると、腸が刺激されて腸の働きが活発になります。この作用により便秘の改善も期待できるでしょう。

また食物繊維には食後の血糖値上昇を緩やかにしたり、余分な脂質などを吸着し体外へ排出したりする作用もあることから、生活習慣病の予防にも役立ちます。

状態など 食物繊維総量
日本ぐり 4.2g
さつまいも 皮なし/生 2.2g
かぼちゃ 西洋かぼちゃ/生 3.5g
バナナ 1.1g
りんご 皮なし/生 1.4g
うんしゅうみかん 1.0g

細胞の増殖・造血に欠かせない「葉酸」

ビタミンB群の一種である葉酸は、たんぱく質やDNA・RNAの合成の合成に関与している栄養素です。細胞の分裂・増殖と深く関係するため、体の発育には欠かせません。

特に胎児の正常な発育に不可欠な栄養素であるため、妊娠を希望する方や胎児の細胞増殖が盛んな妊娠初期の方では積極的な摂取が推奨されています。

葉酸が不足すると動脈硬化を進める要因となったり、未熟な赤血球がつくられることで起こる「巨赤芽球性貧血」を引き起こしたりすることが明らかとなっています。

状態など 葉酸
日本ぐり 74μg
さつまいも 皮なし/生 49μg
かぼちゃ 西洋かぼちゃ/生 42μg
バナナ 26μg
りんご 皮なし/生 2μg
うんしゅうみかん 22μg

コラーゲンをつくる「ビタミンC」

ビタミンCは、皮膚や軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」の生成に欠かせないビタミンです。ビタミンCが欠乏してコラーゲン合成ができなくなると、血管がもろくなり出血しやすくなったり、肌のハリや弾力が失われたりします。

また、体内に増えすぎると老化の引き金となる「活性酸素」を除去する抗酸化ビタミンとして作用したり鉄の吸収を高めたりするなど、体内でさまざまな役割を果たしています。

状態など ビタミンC
日本ぐり 33mg
さつまいも 皮なし/生 29mg
かぼちゃ 西洋かぼちゃ/生 43mg
バナナ 16mg
りんご 皮なし/生 4mg
うんしゅうみかん 32mg

塩分(ナトリウム)の摂りすぎに役立つ「カリウム」

カリウムは体に必須のミネラルの一種。同じくミネラルの一つであるナトリウムと互いに作用し合うため、体内に増え過ぎたナトリウムを排出してくれる作用があります。ナトリウムは主に食塩として摂取され、摂り過ぎると高血圧の原因となります。高血圧の予防・改善にはナトリウムの摂取量を減らす「減塩」とともに、カリウムを十分に摂取することも重要です。

状態など カリウム
日本ぐり 420mg
さつまいも 皮なし/生 480mg
かぼちゃ 西洋かぼちゃ/生 430mg
バナナ 360mg
りんご 皮なし/生 120mg
うんしゅうみかん 150mg

骨の健康を維持に欠かせない「マグネシウム」

ミネラルの一種マグネシウムは、体の機能維持に必要な物質の合成を助けたり骨の健康を保ったりする作用のある栄養素です。また体温や血圧の調節、神経伝達などにも関わっています。

骨の健康を維持するためには、カルシウムと同様にマグネシウムを十分摂取することも重要ですね。

状態など マグネシウム含有量
日本ぐり 40mg
さつまいも 皮なし/生 24mg
かぼちゃ 西洋かぼちゃ/生 25mg
バナナ 32mg
りんご 皮なし/生 3mg
うんしゅうみかん 11mg

栗は1日何個まで?どこからが食べ過ぎ?

さまざまな栄養成分が含まれる栗ですが、1日当たりの摂取量としてはどのくらいが適量なのでしょうか。

食べすぎた場合の影響なども踏まえてみていきましょう。

1日に食べる栗の目安

栗のカロリーは可食部100gあたり147kcal、糖質は33.5gです。果物であるとはいえ一般的な果物よりもカロリーや糖質が多く、その栄養成分は穀類やいも類に近いものがあります。

間食、おやつとして食べるのであれば5〜10粒程度を目安としましょう。粒の大きさにより加減してくださいね。

食べすぎると・・・?!

栗は糖質の含有量が多い果実です。食べ過ぎると糖質の過剰摂取により、体重増加や血糖値の異常を招く可能性もゼロではありません。

長期にわたる食べ過ぎは、生活習慣病を引き起こす可能性もあります。ホクホクと美味しい栗に手が止まらなくなってしまう気持ちは分かりますが、食べ過ぎには注意してくださいね。

栗の栄養を効果的に取り入れる食べ方

私たちが通常食べているのは、栗の「種子」にあたる部分。この種子を覆うのが「渋皮」です。

栗の渋皮を残したまま、甘く煮付けたり油で炒めたりして渋皮ごと食べることで、ポリフェノールの一種「タンニン」が摂取できます。

タンニンはポリフェノールの一種で、ワインにも含まれる成分。活性酸素の働きを抑えたり取り除いたりして体の老化を防ぐ「抗酸化作用」があります。

体の内外を若々しく保つことを意識したい方は、渋皮ごと食べられる調理法で栗を味わってみてください。

まとめ|栗はこんな人におすすめの果物!

栗には糖質が多く含まれるため過剰摂取には注意が必要ですが、食物繊維やビタミン、ミネラルなど健康づくりに役立つ栄養素も多く含まれています。

また、栗の渋皮に含まれるのはポリフェノールの一種タンニン。抗酸化物質を摂取して体を若々しく保ちたい方は、渋皮ごと食べる工夫をしてみると良いでしょう。栗が旬を迎えたら、食べ過ぎに注意しながら美味しさと栄養を丸ごと堪能してくださいね。


【参考サイト】

日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省

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鈴木 亜子

鈴木 亜子 Suzuki Ako

管理栄養士

管理栄養士。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病どさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野の記事執筆などを行う。

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