きのこにはどんな栄養がある?主な栄養素や種類ごとの効能について紹介

きのこにはどんな栄養がある?主な栄養素や種類ごとの効能について紹介

手軽に手に入り、どんな食材とも相性の良い使い勝手抜群のきのこ。実は栄養満点で健康効果も高く、近年注目されている「菌活」にも打ってつけの万能な食材なんです。今回はそんなきのこの栄養価やおすすめの調理法、いろんなきのこの特徴など、きのこの魅力をたっぷりと紹介していきます。

きのこに栄養はある?主な栄養と効能

使いやすく、日常に取り入れやすい食材のきのこには一体どんな栄養素が含まれているのでしょうか?

タンパク質

人間の身体の約60%は水分でできており、残り40%のうちタンパク質は15~20%を占めています。水分を除いた40%のうちの半分がタンパク質でできていることから、人間の身体にとっていかにタンパク質が重要であるかが理解できます。さらにタンパク質は三大栄養素に含まれており、健康に過ごす上で欠かせない栄養素の一つと言えます。そんなタンパク質を気軽に取り入れられるのも、きのこの魅力の一つですね。

食物繊維

食物繊維は水溶性と不溶性の2種類あり、そのどちらとも健康に欠かせない重要な栄養素なのですが、きのこにはその両方がたっぷりと含まれているんです。水溶性食物繊維は、腸中で水分を含みゲル状になってゆっくり移動するので、お腹が空きにくく、食べ過ぎを予防し、糖分の吸収をおだやかにさせて血糖値の急上昇を抑えてくれます。一方不溶性食物繊維は、腸中で水分を含むと大きく膨らみ、便のカサを増やして腸を刺激し、ぜん動運動を活発にすることで便通を促します。きのこのほか、穀物類や根菜など、しっかり噛まないといけない食品に含まれるので、咀しゃく回数が多く、満腹感も増してくれます。

β-グルカン

βグルカンとは、きのこをはじめオーツ麦や大麦などに多く含まれている成分で、多糖類の一種です。主に血糖値やコレステロールの上昇の抑制、腸内環境を整える働きがあります。また、免疫細胞の働きを活発にして免疫力を高めるとともに、がんを抑制する効果にも注目されており、研究が進められています。βグルカンは過剰摂取しても、特に大きな健康被害がないので安心してたくさん取り入れることができます。

ビタミンD

ビタミンDとは、カルシウムの吸収を促進する働きや骨の成長を促進する働きがあるため、健康な骨を保つのにとても重要な栄養素です。骨粗鬆症予防にもなるのでカルシウムとセットで摂取すると良いでしょう。また、免疫力を高める働きもあり、風邪やインフルエンザ、気管支炎などの感染症の発症や予防に良い栄養素とされています。ビタミンDは、日光を浴びることで体内で合成されるので、週2〜3回程度、日焼けしない程度に日光に当たるのと良いでしょう。ビタミンDが不足すると、カルシウム吸収低下や骨の代謝異常を起こし、骨軟化症や骨粗鬆症、骨の成長障害、などの病気につながります。現代人はビタミンDを必要量摂取できていないと言われているので積極的に取り入れたい栄養素の一つです。

カリウム

カリウムはミネラルの一種で、体内の余分なナトリウムを体外に排出する働きがあります。それによってむくみの予防や改善、高血圧の予防、さらには筋肉を正常に保つ効果が期待できます。カリウムは食事から摂取するのが難しくない栄養素ですが、食生活の変化によるナトリウム(塩分)摂取量の増加などが原因となり、近年不足しがちなミネラルとして重要視されています。

リン

リンは、体内のミネラルの中で、カルシウムに次いで多い栄養素と言われており、成人の体内には最大で850gのリンが含まれています。体内のリンのうち約85%がカルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分になっており、残りの約15%は筋肉や脳、神経などさまざまな組織の中に含まれていています。リンの1日の摂取基準量は、18歳以上の男性は1,000mg、女性は800mg、上限は男女ともに3,000mgとなっています。

ビタミンB群

ビタミンB群は、脳や神経、皮膚などを健康に保つビタミンであり、エネルギー代謝を助ける働きもあるため、人間の身体には必要不可欠な栄養素の一つです。疲労回復・成長促進・貧血予防・血糖値を下げる効果など、ビタミンB群はそれぞれ助け合いながら体の中で良い影響をもたらしてくれます。最大の特徴として、体内に貯めておくことができないため、毎日食事から摂取する必要があるので日々の習慣が大切になります。

手軽に美味しく栄養が摂れるきのこの種類

きのこの種類によって特徴や栄養素は異なるのでしょうか?スーパーなどで気軽に手に入るいくつかのきのこを見てみましょう。

しいたけ

しいたけはキシメジ科の一種で、乾燥させることで生で食べるよりもタンパク質やリン、ビタミンDや食物繊維などを含むようになります。なので干し椎茸を戻して料理に使うのもおすすめです。旨み成分の塊なので、干し椎茸を戻した汁も出汁として活用できますし、生の椎茸からもたくさん出汁が取れます。コリコリとした食感が楽しく、鍋や煮物、天ぷらや炊き込みご飯など、さまざまな料理と相性抜群です。

エリンギ

エリンギはヒラタケ科のきのこの一種で、数あるきのこの中でもかなり弾力のあり、モチモチ・コリコリとした食感が楽しめます。エリンギには炭水化物やタンパク質、食物繊維、脂質、ビタミンD、カリウム、マグネシウム、ナイアシン、葉酸などがバランスよく含まれており、中でもほかのきのこに比べて、葉酸が多く含まれています。食べ応えがあるのでステーキにしてバター醤油で食べたり、和物や炒め物、シチューなどにも活用できる万能きのこです。

まいたけ

まいたけはトンビマイタケ科のきのこの一種です。含まれる主な栄養素は、炭水化物、たんぱく質、食物繊維、脂質、ビタミンD、マグネシウム、カリウムのほか、MDフラクションというβグルカンの一種が含まれています。MDフラクションは免疫機能のサポートやアレルギーの改善、抗がん作用などが期待されている成分です。また、多糖体の中には、MXフラクションという成分も含まれており、基礎代謝を上げたり、内臓脂肪を減らしたり、脂肪燃焼したりといった効果が期待されているので、ダイエットにも最適です。天ぷらや味噌汁、炊き込みご飯や炒め物など、比較的「和食」との相性が良いとされているきのこです。

えのき

えのきたけはタマバリタケ科のきのこの一種で、数あるきのこの中でもビタミンB1が豊富に含まれています。えのきたけ特有のシャキシャキとした食感は癖になりますよね。きのこ特有の風味やクセがないので鍋や味噌汁、和物やえのき茸、肉種の中に入れるなどシーンや合わせる食材を選ばない万能きのこです。

しめじ

ぶなしめじはシメジ科の一種で、他のきのこに比べてβグルカンが多く含まれています。また、しめじは肝臓の働きを助けるとされているオルニチンが豊富に含まれているので、二日酔いの予防や改善、疲労回復も期待できます。しめじはクセがなく食べやすいのでパスタや炊き込みご飯、炒め物など、和洋中問わず活用できるのも魅力の一つです。

なめこ

なめこはモエギタケ科の一種で、他のきのこに比べてカロリーが低め。炭水化物、食物繊維、たんぱく質、脂質、カリウム、マグネシウム、ムチン、ナイアシン、葉酸などが含まれており、最大の特徴である”ぬめり”は水溶性の食物繊維でできており、タンパク質の吸収をサポートする働きがあります。なめこを使用するときは軽くザルで洗いますが、洗いすぎてしまうと旨味や栄養も流れてしまうので、さっと洗うだけにしましょう。なめこは味噌汁はもちろん、おひたしや和物など、ぬめりを生かして味わうことのできる活用レシピがおすすめです。

きのこの食べすぎは体に悪い?1日の摂取量は?

栄養豊富のきのこですが、たくさん食べれば食べるほど効果が得られるのでしょうか?1日の目安量や注意点についてみていきましょう。

1日100g程度が適量

1日あたりのきのこ摂取量の目安は50~100g程度。100gはえのきやエリンギ、ぶなしめじなどであれば1パック、しいたけなら軸を取り除いて10枚ほど、マッシュルームなら10個程度が目安です。きのこは栄養豊富な食材ですが、それは適量を摂取する場合であり、食べ過ぎや偏った食事は身体に悪いので避けましょう。また、きのこの中でも種類によって栄養や味わいがそれぞれ違うので、バランスよくいろんなきのこを取り入れるように心がけましょう。また、上記でも説明した通りカリウムはナトリウムを排出する作用があることから、塩分の摂り過ぎを調整するのに役立ちますが、カリウム制限のある人は食べる量に気をつけなければいけません。

食べすぎるとどうなる?

きのこ類には食物繊維が豊富に含まれているため、適量であれば身体に良い影響を与えてくれますが食べ過ぎると逆に悪影響を及ぼしてしまいます。きのこの食べ過ぎによって引き起こる症状は主に3つ

便秘

きのこの中でも特にしいたけやひらたけ、エリンギなどは水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は、便の量を増やして便意を促す働きがありますが、摂り過ぎると便が大きく固くなって腸内でつまりやすくなります。便秘気味の時に不溶性食物繊維を摂り過ぎると、便秘が悪化してしまうので気をつけましょう。

下痢や腹痛

食物繊維のなかでも水溶性食物繊維は、便をやわらかくする作用があるため、摂り過ぎてしまうと便がゆるくなり過ぎて下痢を引き起こす可能性があります。水溶性食物繊維を多く含むきのこはなめこやえのきなど。

吐き気

どんな食べ物・飲み物にも言えますが摂りすぎると消化不良を起こしてしまいます。特に食物繊維が多いきのこ類は消化が悪いため、食べ過ぎると胸焼けや吐き気などの症状があらわれることもあります。胃腸の調子が優れないときや疲れが溜まっているときは、きのこをたくさん食べるのは避けましょう。


また、まいたけやエリンギなどは、毒性成分をわずかに含むものがあります。加熱によって無害になるので、きのこはしっかり加熱して食べるようにしましょう。(※3,4,5)

きのこの栄養を効率よく摂取するには?

きのこの栄養を無駄なく摂取するにはどのようにして食べれば良いのでしょうか?いくつかのポイントを見てみましょう。

水で洗いすぎない

なめこなどは軽く水洗いしますが、それ以外のきのこは基本的に水洗いは避けましょう。水れ洗うことによって栄養素や旨味も一緒に流れ出てしまいます。もし汚れが気になるときはペーパーを湿らせて優しく拭き取りましょう。

加熱しすぎない

きのこは素焼きでソテーにしたり、他の食材と炒めたりしますが、この時は「強火」で調理するのがおすすめです。なぜならきのこの約9割が水分でできているので、弱火でじっくり火を通してしまうと水っぽくなってしまうから。なので、きのこを調理するときは強火でさっと火を通して仕上げましょう。

出汁やスープも飲む

きのこに含まれているビタミンB群は汁物にすると汁に溶け出してしまいます。なので煮る料理の時はスープも一緒に飲むことできのこに含まれるビタミンB群を無駄なく摂取することができます。味噌汁やスープにキノコを使うときは汁もしっかり飲みましょう。

まとめ

きのこはスーパーで気軽に手に入るうえに使い勝手万能!さらには健康に効果的な栄養がたっぷり含まれている魅力的な食材であることがわかりました。どのきのこにも食感や風味、向いている調理法などが違うので、好みや気分に合わせて選ぶことができます。価格も比較的安価で手に入るので、日々の生活にも取り入れやすいですよね。毎日の生活にきのこを取り入れておいしく腸活・菌活をスタートさせましょう!

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鈴木 亜子

鈴木 亜子 Suzuki Ako

管理栄養士

管理栄養士。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病どさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、健康に関わる分野の記事執筆などを行う。

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