土壌改良材とは?混同されやすい「肥料」「堆肥」との違い
土壌改良材は、作物にとって良い土壌をつくる
土壌改良とは、土壌を性質や成分を改善すること。そのために使われるのが「土壌改良材」。優れた物理的特性・化学的特性をあわせもつ土壌では、作物はよく育ち、病気にもかかりづらくなります。そのため、そうではない土壌は、土壌改良剤をつかって良い土壌に変えていく必要があります。
土壌改良をすれば連作障害を回避できるなど、農業を持続的におこなうことが出来るようになるでしょう。また、家庭菜園等でプランターを使用している方は、土をまるごと入れ替えるのが手間が少なくおすすめです。畑の方は、土壌改良を行う必要があるでしょう。
肥料との違いは?
肥料とは、植物の栄養不足を補い、生育を促進するために使用される物質です。農業の現場でよく使用されています。
具体的には、肥料に含まれる主な栄養素はN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)です。これらが適切な割合で配合されたものが肥料です。
肥料と土壌改良材はよく混同されます。それらの共通点は両方土壌に混ぜて使用するという使用方法です。
使用目的はことなり、肥料は栄養素を供給する物質であるのに対し、土壌改良材は土の状態や特性をよくする(水もちを高めるなど)物質です。
一般的に、作物を植え付ける前に土壌改良材を土壌に混ぜこみ、土壌改良材の効果が効いてきてから、肥料を使うようにします。
堆肥との違いは?
「堆肥」は、野菜の皮やくず、落ち葉などの有機質を微生物が分解・発酵させることで作られたもので、土壌改良材の一種です!
何の有機物をもとに作られたものかによって、堆肥のなかでもいろいろな種類があります。
堆肥の主な役割は土壌改良ですが、有機物を分解する過程で栄養素が生成され、植物の成長に寄与する肥料としての一面も持ちます。
一方、「土壌改良材」とは土壌の性質や特性を良くするために使われる物質の総称。これには堆肥、バイオチャーコール、ケイ酸土、石灰など様々な種類が含まれます。(※参考記事:土壌改良材種類)
土壌改良材の選ぶときのポイント
良い土の条件を知れば土壌改良剤を選べる
農業における、良い土の条件をご存知でしょうか。
以下のような土であれば植物はよく育ちます。
- 保水性・排水性がバランスよく優れる
- 通気性に優れる
- 植物を支える適切な圧力がある
- 適切なバランス・量の栄養が含まれる
- 適切なpHである
しかし、全ての土がもともと上記の条件に当てはまるわけではないため、土壌改良材を使って「土壌改良」をおこなうのです!土壌改良材を選択するときにとくに重視すべきポイントを紹介します。
土壌改良材の特徴を見極める
土壌改良剤を選ぶ上で、以下の3点については注意しておきましょう!
土壌団粒構造をつくるか
土壌団粒構造とは、土がくっついてだんご状になったもの。土壌粒子(鉱物)、空気、水から微生物によって生み出されます。これにより土壌が通気性や保水性の両方ををあわせ持ち、植物の根が成長しやすい空間となったり、栄養素の循環や土壌の安定性にも繋がります。
もし土壌団粒構造がなく土壌粒子がサラサラの構造は、排水性や通気性が悪く、音が伸びにくいという問題があります。多くの場合は、砂土質または粘土質の土壌で構成されています。
栄養素のバランス・量を調整するか
植物が必要とする量の栄養素が、多すぎず少なすぎず土壌中に含まれている必要があります。土壌改良材に含まれる栄養素と、肥料で与える栄養素を両方加味して栄養素を調整しましょう。
土壌pHを調整するか
「pH」とは土壌中の酸性・アルカリ性の程度を示す指標。作物の栄養吸収や土壌中の微生物の活動に影響を与えます。
作物ごとに生育に適したpHがあり、適切なpHに調整することで植物の生育に悪影響がでるのを防げるでしょう。
目的別おすすめ土壌改良材の種類
- 排水性・通気性が悪い場合は‥ 牛ふん堆肥、腐葉土、ピートモス、もみ殻、もみ殻くん炭、パーライト、バーミキュライト、バーク堆肥
- 保水性・保肥性が悪い場合は‥牛ふん堆肥、腐葉土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト
- 土壌pHを上げたい場合は‥ピートモス、苦土石灰、消石灰、もみ殻くん炭
いま注目したい 土壌改良材
環境にやさしい土壌改良材の選択
最後に、環境にやさしい土壌改良材として注目されているものを紹介します。劇的な変化を求める方には向いていませんが、長期的に使用するのにはどれもおすすめです!
バイオチャーコール
植物由来の原料を高温で加熱して作る炭素固体。二酸化炭素の吸収と貯留を促進し、肥沃な土壌を作ります。植物由来なので、再生可能で環境に優しいですね。
有機質の堆肥
野菜くずや植物の残さを堆肥化して作ります。再生可能な原料を再利用し、肥沃な土壌を作るため、化学肥料の使用を減らすことができます。
微生物資材
土壌内の微生物を調整し、植物の栄養利用効率を向上させます。化学肥料の削減に寄与し、環境への負荷を減らすことが出来ます。
石灰質土壌改良材
石灰を主成分とする土壌改良材。土壌の適切なpHを保つことで、植物が栄養を効果的に吸収しやすくなり、環境への影響を抑えることができます。
これらの土壌改良材は、環境への影響を最小限に抑えつつ、土壌の健康を向上させるために活用されており、導入が進んでいます。
おわりに
今回は土壌改良材の種類を紹介しました。「土壌改良材」っていろいろあって難しそう‥というイメージがあったかもしれませんが、人間が健康な生活のために運動や食事をするのと同じように、土壌改良は土壌の健康を守るために重要です。
本記事を参考にして、扱いやすいものから挑戦してみてください!