土壌生成因子の基本知識
土壌生成因子とは
土壌生成因子とは、土壌が出来るときにはたらく自然条件「母材(土壌の元となる材料)、気候、地形、生物、時間」という5つの因子のこと。
土のもととなる材料(岩石など)を「母材」といい、それが岩石の場合「母岩」ともいいます。母材に上記の自然条件が加わり土壌が作られます。
これらの因子が複雑に絡み合って土壌は出来上がっているわけなので、土壌の特性は非常に多様であり、まったく同一のものはないといえるでしょう。
土壌の役割と重要性
土壌は地球上の生態系において、以下のような非常に重要な役割を果たしています。
- 作物に必要な栄養を提供する。
- 適切な水分を保持し、作物に供給する。
- 作物の根が成長する基盤となる土壌構造を提供する。
- 多様な生物が生息する場所であり、生態系を支える。
- 二酸化炭素の吸収と貯蔵に寄与し、気候変動への対抗に役立つ。
これらの役割は、農業において作物の成長や収量、環境保護などに直接影響を与える重要な要素となります。
土壌生成因子に基づいた日本の土壌
日本の畑作地の土壌は、黒ボク土、褐色森林土、低地土といったものがよく知られています。これらは地形や土壌精製過程や特性を包括して分類された名前です。
主な種類は以下の8種類が有名です。
- ポドゾル
- 褐色森林土
- 黒ボク土
- 灰色台地土
- 泥炭土
- グライ土
- 灰色低地土
- 褐色低地土
それぞれの特性をみていきましょう。
ポドゾル
- 氷河や氷河前線で運ばれた砂礫層が主成分。寒冷地域に多く見られる。表層から鉄やアルミニウムなどが溶解し、下層に移動するリーチング現象が顕著。
- 鉄分が不足しており、農業用土壌としては適さないことが多いでしょう。
褐色森林土
- 林地の腐植質が主成分。森林地帯に広く分布。表層は暗褐色で腐植質が豊富。 下層は硬く、鉱物質が蓄積。
- 保水性があり、農業用に非常に適している。やや酸性に傾いている場合は中性に調整し、有機質の堆肥をいれることでより栄養の充実した土壌にできます。
黒ボク土
- 表層は黒褐色で腐植質が多く、保水性・保肥力に優れる。下層には鉄アルミニウム化合物が堆積し、リン酸吸収係数が高い。
- 農業用に非常に適しており、特に水田での水稲栽培に適している。有機質の堆肥で栄養を補給したり、通気性が低い場合はもみ殻堆肥がおすすめ。
灰色台地土
- 台地の堆積物が主成分。灰色から褐色で、保水性が良く、保肥力もある。褐色森林土よりやや湿潤で還元的。
- 農業用に適しているが、土壌のアルカリ性に注意が必要。必要な場合はpH調整を。
泥炭土
- 泥炭層が発達した土壌。水分を含むと膨れ、火を灯すことができる。北海道や東北地方に多く分布。
- 農業用には不向き。酸性が非常に高く、栄養が乏しい。また、土壌が圧縮しやすい。
グライ土
- 地下水が多く、排水が不良な土壌が主成分。高い粘土層(グライ層)があり、水が溜まりやすい。
- 排水性が悪いため、田作や湿地帯での特定の作物には利用されている。
灰色低地土
- 強いグライ土が現れ、青灰色または緑灰色になる。 全層または表土直下から出現する。
- 排水性に問題があり、農業用には不向き。
褐色低地土
- 地下水位が高く、泥潰れが起こりやすい。土の性質は土性によって異なり、土性によって土壌統群に区分される。
- 排水性に問題があり、農業用には不向き。
ズバリ!農業に適した土壌はどれ?
最後に、日本の農業においてもっとも一般的に使用される土壌を紹介します。
褐色森林土
腐植質が豊富に含まれる肥沃な土壌。果樹や野菜、花卉の栽培に適しています。
地域によっては他の土壌も使用されることがありますが、褐色森林土は畑で広く利用されています。
黒ボク土
保水性・保肥力があり、リン酸吸収係数が高いため水田作に適しています。
日本の多くの地域で水田作が行われていることから、黒ボク土が広く利用されています。
おわりに
本記事では土壌生成因子と土壌の種類についてご紹介しました。土壌のでき方や種類について理解を深めることが出来ましたでしょうか?これらの知識をもとに、農業や土壌の理解の一助となれば幸いです!