肥料の基本知識! 追肥ってなに?
そもそも肥料とはなにか?
肥料とは、植物の栄養不足を補い、生育を促進するために使用される物質です。農業の現場でよく使用されています。
具体的には、肥料に含まれる主な栄養素はN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)です。これらが適切な割合で配合されたものが肥料です。
よく混同される言葉として「堆肥」「土壌改良材」などの言葉があります。肥料と土壌改良材の共通点は両方土壌に混ぜて使用するという使用方法です。肥料は栄養素を供給する物質であるのに対し、土壌改良材は土の状態や特性をよくする(保水力を高めるなど)物質であり、役割は全く異なります。
一般的に、作物を植え付ける前に土壌改良材の効果が効いてきたあとに、肥料を使うようにします。
肥料の種類!元肥と追肥の違いは??
使用のタイミングによる分類「元肥」「追肥」
元肥
植物植え付けのまえに、土壌に必要な栄養素を補充するために施される肥料。
追肥
植物が成長している途中(生育期や開花期等)に、植物の成長段階に応じた栄養素補給をするために施される肥料。
効果の持続性による分類!追肥は「緩効性」「速効性」どちらも用いられる
緩効性肥料
効果がすぐに現れるわけではないけれども持続的で、長期間にわたって栄養を供給します。粒状肥料が主流です。
速効性肥料
すぐに植物に効果が現れ、成長を促進。その一方で効果の持続する期間は短いです。粒状以外にも液体の肥料もあります。
「元肥」「追肥」ってきいたことあったけど肥料の中身を表す言葉かと思っていた!という方は、施肥するタイミングによって呼び分けられているということがお分かりいただけたでしょうか?
元肥のおおくは緩効性肥料である一方で、追肥は作物の種類によって緩効性、速効性どちらも用いられます。
つづいて、お待ちかねの追肥の重要性や選び方を紹介していきます!
追肥の重要性と選び方!
追肥の重要性
追肥は、「生育成長段階に応じた栄養素を補給する」という重要な役割を担います。
元肥は「生育初期段階の作物を育てる」という役割であるため、どんな作物であっても一律に植え付け前に施します。しかし、追肥は「成長段階に応じて」栄養素を補給する役割を果たすために、施肥するタイミングを作物によって変える必要があります。
このように、追肥は施肥する量はもちろんですが、タイミングにも注意を払わねばなりません。タイミングを間違えると十分に生育しない可能性があります。
追肥に向いている肥料を選ぼう
それでは、実際にどんな肥料を追肥に使えばいいのか、選んでいきます。➀栄養素 ➁ 元肥との量のバランス ➂ 効き方 この三つの観点から考えます。
➀ 栄養素のバランスを決める
肥料の三要素であるN-P-Kをバランスよく施肥する必要があります。自身で決めていくのが難しい場合は、追肥用として販売されている化成肥料を使用するのもいいでしょう。化成肥料に含まれるN・P・Kの割合のバランスは以下の5種類があり、それぞれに向いている用途や野菜の例を紹介します。
全部同じ割合の水平型 N = P = K
あらゆる植物に使用可能。株を充実させる時期に向いている。
Pだけ少ない谷型 N > P < K
水に流されやすいN、Kが多く含まれるので効率重視の農業用追肥に向いている。
Pだけ多い山型 N < P > K
花や実着きをよくするPが多く含まれるので、果樹や果菜類
順に少なくなる下がり型 N > P > K
葉を充実させる窒素が多く含まれるので、葉菜類
順に多くなる上がり型 N < P < K
根を充実させるカリが多く含まれるので、根菜類
化成肥料であっても、育てる植物にあった栄養素をバランスよく混ぜて与えることで、より効果的に使うのもいいですね。
元肥とのバランス、➂ 緩効性or速効性 を決める
さらに、作物ごとの生育パターンによって、元肥と追肥の量のバランスを変える必要があります。そこで作物ごとの生育パターンとしては以下の3種類があります。
- 生育初期に成長する「スタートダッシュ型」(例:コマツナなどの葉菜類・サツマイモ)
- 生育期全体でバランスよく成長する「コンスタント型」(例:ネギ・キュウリ・ニンジン)
- 生育後期に成長する「ラストスパート型」(例:ダイコン・カボチャ)
それぞれの生育パターンの作物に肥料を与えるときのポイントをご紹介します。
- のスタートダッシュ型では元肥を主体に施肥するのがよいでしょう。
- のコンスタント型では元肥は緩効性のものを使用し、追肥は速効性のものをこまめに施肥するか、緩効性のものを使用するのがよいでしょう。
粒状の肥料が多くありますが、粒の大きさによってその緩効性の度合いもことなってきます。生育期間が長い作物なら大きめの粒のものを選べば長く効きます。
(3) のラストスパート型では元肥は控えめにして、生育中期以降には速効性の追肥をこまめに施肥しましょう。
植物に合わせた肥料の効果的な使用方法
追肥のやり方
それでは、追肥のやり方について紹介していきます!
緩効性肥料なら
粒状肥料であれば、株元に適量の肥料をまいて、まわりの土と合わせて株元に寄せていきます。多くの緩効性肥料は1カ月~数カ月その効果が持続します。
速効性肥料なら
- 速効性の肥料は一度に多量を与えないようにとくに気を付けます。根が過剰の養分にさらされることで病気になり枯死する場合もあります。
- 液体肥料の場合には表示の希釈濃度を守り与えるか、またはそれよりも薄くして何回かに分けて水やりとして肥料を与える方法もあります。
これが基本となります。どちらの方法であっても必ず注意したいのは、肥料が直接作物にあたらないようにしたり、バランスよく全体に施肥することを心がけましょう。
肥料の最近のトレンド
最近注目されているのが「有機肥料」です。
有機肥料は動植物を原料としており、肥料成分は化成肥料と比べて少なめです。発酵分解してから徐々に効いてくる「緩効性肥料」です。また、肥料の三要素以外の「微量要素」を豊富に含みます。
さらに、最大の特徴が「土壌改良効果」です。はじめに肥料と土壌改良材は別物だと紹介しましたが、有機肥料は二役を果たすのです。
有機肥料によって、土壌中の有用微生物が活性化し、土の団粒化が進んだり、その結果、通気性・排水性・保水性・保肥性が改良できます!
肥料分がメインで、土壌改良効果は弱めの堆肥
家畜糞肥料
ウシ、ヒツジ、ヤギ、鶏などを堆肥化したもので、窒素、リン、有機物を供給。
鶏糞肥料
鶏の糞を乾燥・粉末化したもので、窒素やリンを多く含みます。
土壌改良効果が高く、肥料分は少なめの堆肥
バーク堆肥
木の皮やバークを原料とし、土壌の保水性を向上させるのに向いています。
腐葉土
腐敗した落ち葉や植物の残骸から作られ、土壌の保水性を向上させるのに適しています。
おわりに
本記事では追肥について理解を深め、実際に肥料の選び方や施肥方法についてご紹介しました。充実した農業・園芸ライフの一助となれば幸いです。
また、適切なエコフレンドリーな肥料を選択することが出来れば、農業や園芸を長く楽しむことが可能になります。
ぜひ実践してみて、植物と共に心地よいひとときを楽しんでみましょう!