土壌の基本知識
そもそも土壌の役割は?
土壌は地球上の生態系において、以下のような非常に重要な役割を果たしています。
- 作物に必要な栄養を提供する。
- 適切な水分を保持し、作物に供給する。
- 作物の根が成長する基盤となる土壌構造を提供する。
- 多様な生物が生息する場所であり、生態系を支える。
- 二酸化炭素の吸収と貯蔵に寄与し、気候変動への対策に役立つ。
これらの役割は、農業において作物の成長や収量、環境保護などに直接影響を与える重要な要素となります。
土壌が多くの役割を果たすワケ
なぜこんなに多くの役割を果たせるのでしょうか。その秘密は土壌中の成分と構造に隠されているのです!!
土壌の主な成分は・・・鉱物、有機物、空気、水!
土壌中の成分を物質の性質によってこのように分類することができます。
- 鉱物:主に土壌の骨格を形成する。
- 有機物:土壌の肥沃度や微生物活動に影響を与える。
- 空気:植物の根が酸素を必要とするため、土壌中の空気の存在が重要である。
- 水:植物の栄養吸収や生理活動に重要な役割を果たす。
鉱物や有機物のなかに含まれる栄養素は、植物や動物の成長を促進します。
とくに、植物が大量に必要とし、生育に不可欠な「窒素」「リン」「カリウム」は重要で、まとめて肥料の三要素と呼びます。
成分が含まれるだけではダメ!ポイントは「団粒」構造
これらの成分から生み出され、農作物の成長や収量にポジティブな影響を与えるのが、「土壌団粒」という構造です。
土壌団粒は、水や有機物が鉱物の微粒子に付着し、微生物がこれを固めることで形成されます。これにより土壌が通気性や保水性を持ち、植物の根が成長しやすい空間となったり、栄養素の循環や土壌の安定性にも繋がります。
このように土壌は、栄養素といった化学的性質のみならず、土壌団粒といった物理的な性質を兼ね備えてはじめて、良質な「土壌」となります。
作物が栄養素を吸収できるしくみ
鉱物のなかでも「粘土」が水分中の栄養素と結びつく
つぎに、土壌中で起きていることをまるごと解説していきます!
肥料中や有機物中の栄養素は、土壌中で水に溶けることで「イオン」になります。イオンには、プラスの電荷を持つイオン(‥陽イオン)またはマイナスの電荷を持つイオン(‥陰イオン) があります。
しかし、イオンとなった栄養素のなかには、作物がそのまま吸収できないものがあります。
そこで鉱物の出番!
鉱物の一種である粘土。粘土には、土壌が栄養を保持する「養分吸着機能」(=保肥性)があり、農業において重要です!
粘土はその成分の特性上、マイナス(‥陰イオン) の電荷をもっており、プラスの電荷(‥陽イオン) を持つ養分を引き寄せることが出来るのです。
陽イオンで存在する主要な栄養素は、カルシウムやカリウム、マグネシウムなど。ちなみに、陰イオンとして存在する窒素やリン、硫黄などは、陽イオン交換反応は介さず、土壌中に水溶液として存在することで最終的には作物に吸収されます。
土壌の成分を理想に近づける方法
土壌の成分や、植物が栄養素を吸収するしくみについてお分かりいただけたでしょうか?
理解出来たら、次は自分の畑の土壌の成分を、作物がよく育つ状態に変えていきたい!という方もいらっしゃると思います。
そこで、最後に土壌の成分を理想状態に近づけていく方法を紹介します。その方法とは、以下の二つをおこなうこと!!
土壌診断
土壌診断とは土壌分析の一種で、土壌全体の健康状態や栄養成分を調べること。
土壌診断を詳しくしりたい方はこちらの記事:
土壌改良
土壌改良とは、土壌診断の結果をふまえて、堆肥などの土壌改良材をつかって、作物を元気に育てることのできる土壌(通気性や保水性にすぐれた土壌)にすること。
土壌改良を詳しくしりたい方はこちらの記事をご覧ください◎
おわりに
本記事では土壌の成分についてご紹介しました。土壌を構成する鉱物や有機物、またそれらと栄養素の関係について理解を深めることが出来ましたでしょうか?
つぎは土壌中の成分を測定して、農業でもっと元気な作物を育てたいという方もいらっしゃると思います。土壌中の成分を考えるうえで、これらの知識がお役に立てば幸いです!
また土壌分析については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください♪