施肥設計とは?土壌診断とセットで行われる
施肥設計とは、土壌に適切な肥料を施すために計画をたてることです。施肥設計は、土壌の状態や作物の成長段階を考慮した、必要な栄養素を見極めることが重要になってきます。
「施肥設計」のまえにおこなうのが、「土壌診断」です。土壌診断とは土壌分析の一種で、農業で作物をより健康に育てるために、土壌全体の健康状態や栄養成分を調べることをいいます。
土壌診断の結果をもとに施肥設計をおこないます。
人間で例えると、土壌診断は健康診断、施肥設計はどんな治療をおこなうかを決めることであるといえます。
施肥設計のながれを紹介!
施肥設計基本の考え方
まず、施肥設計でもっとも重要な式がこちら!
施肥設計で重要な数式
施肥量=施肥標準量ー測定値 (単位はmg/100g,亜鉛と銅はmg/kg)
施肥設計とは、栄養素ごとの施肥量をもとめること。
そのため、作物ごとの必要な栄養素の量から、すでに畑に存在する栄養素の量を引き算します。
- 施肥標準量とは、平均的な肥沃度の畑で、作物が成長にとって必要な栄養素の量。作物の種類ごとに定められています。
- 測定値は、土壌診断によって得られた、すでに土壌中に存在する栄養素の量。測定値を差し引かずに施肥してしまうと、肥料のあげ過ぎになります。
肥料の濃度が一定の飽和状態をこえると、収量が増加するどころか、作物が病気になることがあります。また、肥料の価格高騰や余分に施肥した肥料が環境汚染に繋がることを考えると、肥料のあげすぎはよくないですよね。これらの理由から、不足しない程度に肥料を減らさなければなりません。
施肥設計できることは3つ!
①施肥する栄養素の量
栄養素ごとに、施肥する量をきめます。
②施肥する時期
リン酸、カルシウム、苦土は、元肥として全量施肥し、窒素とカリは、元肥と追肥に分けて施肥します、
➂肥料の形状
追肥の場合は即効性があるものを選びます。
また追肥専用肥料(窒素とカリから成る化成肥料)もおすすめです。
施肥設計のやり方
- STEP 1 土壌診断をおこなう…各栄養素の測定値の結果をゲットしましょう!
- STEP 2 対象となる野菜の窒素施肥標準量を確認(各自治体が発行するガイドの表を確認)
- STEP 3 リン酸、カリウム、石灰、苦土、亜鉛/銅の標準量を確認
- STEP 4 窒素、カリウムについては追肥や有機物による施肥量を確認
- STEP 5 それぞれの栄養素の施肥量を決定
最後に例を紹介します!
- 土壌診断結果
測定項目 | 窒素 | リン酸 | カリ | 石灰 | 苦土 |
---|---|---|---|---|---|
測定値(mg/100g) | 3 | 65 | 87 | 195 | 32 |
評価 | 肥沃度水準II | やや高い | 標準 | 標準 | 標準 |
- 増減表
おわりに
本記事では施肥設計のの概要と方法についてご紹介しました。施肥設計!と聞くと専門的で難しそうと思っていたあなたも、各自治体が発行している表をもながらやれば、やりかたは意外とシンプル。ぜひ肥料を適切に管理し、環境にも作物にもよい農業ができるきっかけになれば幸いです!