そもそも石灰って?どんな役割や種類があるの?
有名な土壌改良材である「石灰」
土壌改良とは、土壌を性質や成分を改善すること。そのために使われるのが「土壌改良材」。優れた物理的特性・化学的特性をあわせもつ土壌では、作物はよく育ち、病気にもかかりづらくなります。そのため、そうではない土壌は、土壌改良材をつかって良い土壌に変えていく必要があります。
土壌改良材は、無機質からつくられるものもあれば、有機質からつくられるものもあります。有機質からつくられるもので有名なのは、「堆肥」。一方、石灰は無機質からつくられる土壌改良材なのです。
石灰の役割
酸性土壌を中性に調整するのに活躍
日本の土壌は、酸性雨の影響でpHが酸性になりやすい傾向にあります。
多くの野菜は酸性やアルカリ性では育つのが難しく、中性でよく育つために、石灰を加えることで中性に調整する必要があります。
カルシウムという栄養素を補給する役割も
土壌は肥料の3要素(NPK)以外にも、必要な栄養分がいろいろとあります。石灰はカルシウムやマグネシウムといった栄養分を含んでおり植物にこれらを供給することが出来ます。
石灰の種類
「苦土石灰」「消石灰」「貝化石」など、もととなる鉱物の種類がいくつかあります。
生石灰
アルカリ成分が80%程度と非常に多く含まれています。水に触れると発熱するなど、取扱が難しいことからも、農業用としては他の石灰がよく使われています。
消石灰
アルカリ成分が60%程度と比較的多く含まれており、土壌消毒にも使用することができます。速効性があります。
苦土石灰
もっとも扱いやすい苦土石灰。アルカリ分50%程度で、緩効性の石灰。アルカリ分が比較的少ないことや緩効性であることから、初心者でも取扱がしやすく、もっともメジャーに使われています。
有機石灰
アルカリ分30~50%程度で緩効性。動物由来でつくられています。緩効性であることから散布のタイミングを変更して使用することもできます。
いざ実践!石灰の施肥方法
苦土石灰の使用方法
初心者におすすめの苦土石灰。そこで、苦土石灰の使用法や使用料について紹介します!
以下のステップで使用するとよいでしょう。
土壌のpHを確認する
土壌酸度計や簡易キットなどでpHを確認することができます。
まず始めに必ず測定するようにしましょう。
土壌に石灰をまき、均一になるようによく混ぜ合わせる
pHを1上げるのに1平方メートルあたり約100~200 g の石灰が必要であると知られています。詳しくは石灰の種類によっても異なりますので使う前に必ず確認しましょう。
その1週間後に、元肥を施肥する
よく混乱するのが、元肥と苦土石灰の違い。
苦土石灰は上記で紹介した「pH調整」「カルシウム・マグネシウム補給」の役割がありますが、一方元肥は、「肥料の3要素 NPK の補給」。苦土石灰は緩効性なので、元肥より1週間ほど前に施肥しておきます。
苦土石灰をまいてから2週間後に植え付け可能
石灰をまいたあとすぐに作物を植え付けすることはできません。
石灰の効果が現れるのに最低2週間待つ必要があります。
苦土石灰の使用量ってどうやって分かる?
1㎡に100g (100gはだいたいこぶし一握り)であると知られています。
この分量で苦土石灰を撒くとpHが約0.5上がります。
pHいくつまで上げればいいのかを知るためには、今のpHと目標とするpHを知る必要があります。その差を埋める量の苦土石灰を施肥する必要があるのです。
例えば
- ホウレンソウ 今のpH 5.0 → 目標pH 7.0
- pH2.0上げる必要がある
- 100g/m² でpH0.5あがるので、400gでpH2.0あげられる!
というように考えます。
野菜ごとに適したpH値
pH | 葉菜類(微酸性~中性を好みます) | 果菜類(微酸性~中性を好みます) | 根菜類(弱酸性を好みます) |
---|---|---|---|
6.5〜7.0【中性】 | ホウレンソウ | エンドウ | - |
6.0〜6.5【微酸性】 | アスパラガス/カリフラワー/クウシンサイ/シソ/シュンギク/セロリ/タマネギ/ニラ/ネギ/ハクサイ/ブロッコリー/レタス | インゲン/エダマメ/オクラ/カボチャ/キュウリ/シシトウ/トウガラシ/ズッキーニ/ソラマメ/トウモロコシ/トマト/ナス/ピーマン/パプリカ/ラッカセイ | サトイモ/ヤマイモ |
5.5〜6.5【微~弱酸性の広い領域】 | アスパラガス/カリフラワー/クウシンサイ/シソ/シュンギク/セロリ/タマネギ/ニラ/ネギ/ハクサイ/ブロッコリー/レタス | インゲン/エダマメ/オクラ/カボチャ/キュウリ/シシトウ/トウガラシ/ズッキーニ/ソラマメ/トウモロコシ/トマト/ナス/ピーマン/パプリカ/ラッカセイ | サトイモ/ヤマイモ |
5.5〜6.5【微~弱酸性の広い領域】 | キャベツ/コマツナ/チンゲンサイ | イチゴ/ゴーヤ | カブ/ゴボウ/ダイコン/ニンジン/ラディッシュ |
5.5〜6.0【弱酸性】 | - | - | サツマイモ/ジャガイモ/ショウガ/ニンニク/ラッキョウ |
おわりに
今回は石灰の使用法や使用量について紹介しました。「石灰ってよく聞くけど、使ったことなかった」なんて方も、pH調整など石灰の重要な役割をご理解いただけたでしょうか?
本記事を参考にして、ぜひ石灰をもちいて土壌改良に挑戦してみてください!