防除機 の主な用途と機能
防除機の用途は?
主に農業や園芸において、害虫や病気、雑草などの害を防ぐために農薬等の散布をおこなう機械を防除機と呼びます。様々な型があり、目的に合わせたものを選ぶ必要があります。
防除機とよく似た機械として、肥料散布機があります。防除機は主に液体の農薬や肥料を噴霧する一方で、散布機は主に固形の肥料や農薬などを均等にまくための装置です。近年では液体・固体、肥料・農薬に限定されない防除機と肥料散布機が増えているため、その境界線は薄くなってきています。
防除機は病害虫の防除を中心に、以下のような用途が一般的です。
- 病害虫の防除
- 雑草の防除
- 肥料の散布
- 潅水の散布
このように防除機は、農業生産の効率化や生産性の向上に大きく寄与しています。
防除機 の主な機能
防除機は「散布量の均一かつ正確な制御」を行うための以下の機能がとくに重要です。
散布範囲・散布量調節
散布範囲・散布量を正確に調整することで農薬や殺菌剤の効果を最大限に向上させます。
防除機の種類
防除機には多くの形式があります。代表的な種類を紹介します。
人力防除機
ハンドルを手動でポンピングすることで散布できます。霧吹き型、背負い型やショルダーなどがあります。小規模な農地や特定の領域に対して精密な散布が必要な場合におすすめ。
動力噴射機
エンジンが搭載されていているタイプ。背負い式・セット式・自走式があります。
タンクを背負って使う背負い式は、背の低い作物の少量の消毒に向いています。
セット式はトラックの荷台に乗せて運びながら使うのが一般的で、大きなタンクを選べば大規模な農地でも使用可能。
自走式はリモコンで操作することで農地を走行。一定の散布範囲で農薬をまくことが可能。
スピードスプレーヤー
車タイプの防除機。車が入れる広さのある、平坦な土地である場合に威力を発揮。大規模な果樹園などで効率的に農薬を散布したい場合におすすめ。
農業用ドローン
空中から散布するため、地形による影響が小さいという特徴があります。効果ではあるものの、大幅に生産性を向上させることが可能です。
防除機 の耐久年数と性能の種類
防除機 の耐久年数
一般的な耐久年数の範囲は次のようになります:
- 通常10年以上
- 定期的なメンテナンスや修理により、より長い期間使用することも可能。
防除機 の性能の近年のトレンド
近年では、以下のような性能の種類とそのトレンドがあります。
散布範囲・散布量の制御能力
近年では農地の細かな特性や作物の要件に合わせて、細かな調整が可能な高度制御システムが増加しています。
散布精度
散布の均一性が向上し、作物全体に効果的な防除剤が行き渡るようになっています。
省エネルギー性
近年、効率的な散布方法やエネルギー効率が高い技術・設計が採用され、省エネルギー性が向上しています。また、農薬の漏洩・飛散の抑制、環境への影響の最小化を追求した設計が進んでいます。
自動化技術・データ管理
- GPSやセンサーを利用して、作物の位置や状態をリアルタイムにモニタリングして最適な散布パターン・散布量を実現します。
- また、散布作業のデータを記録し、後の分析や評価に利用して効率的な農業経営に役立てます。
複数の散布方法の統合
従来は液体の散布や噴霧が主流だったが、近年は液体散布に加えて粉末や顆粒の散布方法も統合されることが増えています。作物や病害の特性に応じて、より適切な散布方法を選択できます。
以上のように、防除機の性能は近年、大きく成長しています。しかし、性能の高い防除機のコストは高くなっています。次項目では防除機のコストについて解説していきます。
防除機 のコスト
防除機 の維持費・運用コスト
防除機の維持費・運用コストの内訳は以下の通りです。
なかでも燃料費とメンテナンス費用が維持費の大半を占めることが一般的です。
農薬・殺菌剤の消耗品
燃料費
防除機はエンジンを使用するため、燃料が必要。燃料の種類や価格によって異なります。
定期点検によって故障やトラブルの予防をしたり、もし損傷が発生した場合には修理・交換部品の費用がかかります。
保険費用
防除機は保険に加入することが推奨されています。
防除機の一般的な維持費は年間数万円~数十万円と、種類や地域によって大きく異なります。
防除機 の初期費用相場
防除機を導入する際の初期費用として以下の費用がかかります。
購入費用
防除機の購入費用は、機種や性能によって大きく異なります。新品の場合の費用相場は以下の通りです。
- 小型:新品50~150万円
- 中型:新品150~300万円
- 大型:新品300万円~
アクセサリーやオプション機器を追加することも可能です。
中古品やレンタル品という選択肢もあります。詳細は後の項目でご紹介します。
導入・設置費用
大型の防除機の場合など、専門のスタッフが必要な場合もあります。
防除機の補助金・助成金
防除機等の農業機具導入の際、国・地方公共団体・民間団体から農業設備導入に使える補助金または助成金を受けられる可能性があります。2023年現在募集している補助金・助成金をいくつかご紹介します。各補助金・助成金の状況や詳細は必ずHPで確認するようにしてください。
【農地利用効率化等支援交付金(令和5年度)】
農林水産省の経営局経営政策課担い手総合対策室による、地域が目指すべき将来の農業集約化の実現に向けた取り組みの場合、農機具・施設の導入を支援する制度。
制度 | 詳細 |
---|---|
補助対象 | 将来の地域の農業を担う |
補助上限 | 融資残額のうち事業費の3/10以内,300万円(条件を満たせば個人1,000万円、法人1,500万円等) |
申請期限 | 令和5年2月17日(令和5年の募集は終了していますが、来年以降の同時期にもチェックしてみるとよいでしょう。) |
対象経費 | 農機具・施設の導入 |
【小規模事業者持続化補助金(令和5年度)】
商工会議所による、小規模事業者等が販路開拓等に取り組む費用の一部を補助する制度。補助金の対象経費が多岐にわたるという特徴があります。
制度 | 詳細 |
---|---|
補助対象 | 従業員数20人以下の小規模事業者 |
補助上限 | 50~200万円 |
申請期限 | 令和5年9月7日(令和5年の募集は終了していますが、来年以降の同時期にもチェックしてみるとよいでしょう。) |
対象経費 | 農業機械の購入費、旅費、開発費、資料購入費、広告費用、ウェブサイト立ち上げ費用、設備機器購入費等 |
防除機 を選ぶポイントと人気メーカー
防除機 の選ぶポイント
ここまで、防除機の機能・性能やコストについてまとめてきました。では次に、実際に防除機購入にあたって押さえるべきポイントを解説します。
土地の広さ・作業ニーズを適したサイズ・能力
自身の農業経営に合わせたサイズ・スペックの防除機を選択することで作業の効率性・生産性を最大化できます。シンプルな機能が必要なのか、生産性の高いスマート農業にしたいのかなど具体的な目的に応じて必要な機能を確認しましょう。なかでも以下の項目は必ずチェックしましょう。
散布範囲・散布量の制御能力
近年高度な制御システムの開発が進められており、生産性・安全性に大きくかかわる性能です。必要な散布範囲と散布量を調整できるか確認し、作物に適切な防除効果を得ることができるかを確認しましょう。
省エネルギー性
エネルギー効率は維持費である燃料費にも大きく影響しますので、重視するとよいでしょう。
ブランドと信頼性
信頼できるメーカーの防除機は、品質やアフターサービスにおける信頼性があります。
サービスとサポート
防除機を提供する販売業者やディーラーのサービス・サポートの手厚さ・迅速さは、長期的な運用をするうえで重要です。
予算とコストパフォーマンス
防除機の価格だけでなく、燃料費・メンテナンス費用・耐久性を総合的に評価する必要があります。
防除機 の人気メーカー
防除機のなかでも、動力噴射機の人気メーカーとして以下のメーカーが挙げられます。
丸山製作所
信頼性と耐久性がいちばんの特徴です。使いやすい操作性や豊富なラインナップも人気の秘訣です。
工進
軽量でコンパクトなデザインでありながら、優れた性能を備えている点が評価されています。
共立(やまびこ)
さまざまな散布方法や作業環境に対応する防除機モデルが提供されているので、ニーズに合ったモデルを選択することが可能です。
防除機 は新品で購入?それとも中古品?レンタル品?
防除機を使用する方法として、新品・中古品・レンタル品が挙げられます。
以下にそれぞれのメリットやおすすめしたい方の特徴を紹介しますので参考にしてくださいね。
新品
- 最新の機能・性能を持ち、メーカー保証やアフターサービスが受けられます。また、耐用年数が長くなる傾向があります。
- 予算に余裕があり、長期的に利用する方におすすめ。
中古品
- 初期費用は押さえられますが、機器の状態やメンテナンスの履歴、耐用年数や保証の有無に注意が必要です。
- 初期費用の予算が限られている方におすすめ。
レンタル品
- メンテナンスや修理の必要がありません。
- 一時的な利用のみの方におすすめ。
まとめ|防除機 は 【新品】がおすすめ!【散布範囲・散布量の制御能力】 は必ず重視しよう!
防除機には様々な種類や性能があるため、ポイントを押さえて防除機を導入しましょう。
メンテナンス履歴や状態が格段によい中古品を除いては、新品を選択することで維持費を抑えることが出来るためおすすめです。
防除機には様々な機能・性能がありますが、必ず重視したい項目は、生産性・安全性に大きくかかわる「散布範囲・散布量の制御能力」「省エネルギー性」です。防除機は農薬を取り扱うので特に安全性には注意を払う必要があります。
農機具は技術的に進歩し続けています。そのため、新しい技術の導入可能性や、将来的にどのような農機具が必要になるかを予測し、その観点から機器を選ぶことも重要です。