コンバイン の主な用途と機能
コンバインの用途は?
穀物の効率的な収穫を可能にする大型農機具のことです。
ソバなど水田以外の通常の作物の収穫に適する「普通型」と米や麦の収穫に適する「自脱型」の二種類に分かれます。
- 普通型コンバイン:刈り取った作物の茎や葉も含む全体が脱穀機を通過し、穀粒だけが残る仕組み。
- 自脱型コンバイン:穂先のみが脱穀機を通過して脱穀、選別される構造。普通型よりも構造が複雑。
米・麦の収穫には自脱型、それ以外には普通型を選ぶといいでしょう。
コンバイン の主な機能
以下の3つの収穫関連機能を合わせ持つものをコンバインと呼びます。
- 刈り取り機能
- 脱穀(スラッシャー処理)
- 清掃と選別
コンバイン の耐久年数と性能の種類
コンバイン の耐久年数
一般的な耐久年数の範囲は
- 中小規模農場のコンバイン: 10年〜15年程度
- 大規模農場や商業農場で使用される大型コンバイン: 15年〜20年以上
また、コンバインやトラクター、田植え機などの農業用設備の、経済的な価値を持つ年数である耐用年数は「7年」と定められています。
コンバイン の性能の近年のトレンド
近年では、以下のような性能の種類とそのトレンドがあります。
刈り取り幅の拡大・収穫速度の向上による収穫能力の向上
積み込みと排出関連機能
- 収穫物をトレーラー等に積み込む機能や、収穫物や廃棄物をコンバインから排出する機能
- 近年、より効率的な清掃・クリーニングと選別により、処理品質の向上がみられます。
運転と操作関連機能
- 操縦席や操作パネル、 自動的に作業を制御する機能。
- 近年では、ユーザーインターフェースの改善によって操作性の向上がみられます。
地形適応関連機能
- 傾斜地や不均等な土地における作業能力や、接触・移動性を向上させる車輪の機能
- 近年、より様々な地形や地面状態に対応。
メンテナンス関連機能
- メンテナンスの容易さや、自己診断機能による異常検出機能
- 燃料消費量の削減とエネルギー効率の向上
自動化機能
- GPSやセンサーによる自動運転・位置制御
- データ管理と予測分析によるより効率的な農作業計画
以上のように、コンバインの性能は近年、大きく成長しています。しかし、性能の高いコンバインのコストは高くなっています。次項目ではコンバインのコストについて解説していきます。
コンバイン のコスト
コンバイン の維持費・運用コスト
コンバインの維持費・運用コストは以下の通りです。なかでも燃料費と部品交換費用が維持費の大半を占めることが一般的です。
- 燃料費
- メンテナンス・点検費用
- 部品交換費用
- 保険料
- 車両登録費用
コンバインの燃料費は、作業量や作業条件によって異なります。例えば、1ヘクタールあたりの燃料消費量が10リットルと仮定すると、1ヘクタールあたりの燃料費は、燃料価格に応じて計算されます。
近年は燃料効率が大きく向上しています。燃料効率のよいコンバインを選択することで維持費を節約することが出来るでしょう。
コンバイン の初期費用相場
コンバインを導入する方法として、以下の3点が挙げられ、それぞれの費用相場は以下のようになっています。
- 新品:100万円~3000万円以上
- 中古品:数十万円~数百万円以上
- レンタル品:年額30万円~200万円以上
初期費用は新品が高く、中古品・レンタル品で価格が下がりますが、初期費用だけで判断するのは危険です。コンバインを選ぶポイントや注意事項を次の項目で解説していきます。
コンバインの補助金・助成金
コンバイン等の農業機具導入の際、国・地方公共団体・民間団体から農業設備導入に使える補助金または助成金を受けられる可能性があります。2023年現在募集している補助金・助成金をいくつかご紹介します。各補助金・助成金の状況や詳細は必ずHPで確認するようにしてください。
【農地利用効率化等支援交付金(令和5年度)】
農林水産省の経営局経営政策課担い手総合対策室による、地域が目指すべき将来の農業集約化の実現に向けた取り組みの場合、農機具・施設の導入を支援する制度。
制度 | 詳細 |
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補助対象 | 将来の地域の農業を担う |
補助上限 | 融資残額のうち事業費の3/10以内,300万円(条件を満たせば個人1,000万円、法人1,500万円等) |
申請期限 | 令和5年2月17日(令和5年の募集は終了していますが、来年以降の同時期にもチェックしてみるとよいでしょう。) |
対象経費 | 農機具・施設の導入 |
【小規模事業者持続化補助金(令和5年度)】
商工会議所による、小規模事業者等が販路開拓等に取り組む費用の一部を補助する制度。補助金の対象経費が多岐にわたるという特徴があります。
制度 | 詳細 |
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補助対象 | 従業員数20人以下の小規模事業者 |
補助上限 | 50~200万円 |
申請期限 | 令和5年9月7日(令和5年の募集は終了していますが、来年以降の同時期にもチェックしてみるとよいでしょう。) |
対象経費 | 農業機械の購入費、旅費、開発費、資料購入費、広告費用、ウェブサイト立ち上げ費用、設備機器購入費等 |
コンバイン を選ぶポイントと人気メーカー
コンバイン の選ぶポイント
ここまで、コンバインの機能・性能やコストについてまとめてきました。では次に、実際にコンバイン購入にあたって押さえるべきポイントを解説します。
土地の広さ・作業ニーズを適したサイズ・能力
自身の農業経営に合わせたサイズ・スペックのコンバインを選択することで作業の効率性・生産性を最大化できます。
コンバインの状態とメンテナンス履歴
中古のコンバインを検討する場合には、適切なメンテナンス履歴があるか確認することで将来の故障や修理費用を抑えることが出来ます。
ブランドと信頼性
信頼できる農業機械メーカーのコンバインは、品質やアフターサービスにおける一定の信頼性があります。
サービスとサポート
コンバインを提供する販売業者やディーラーのサービス・サポートの手厚さ・迅速さは、長期的な運用をするうえで重要です。
予算とコストパフォーマンス
コンバインの価格だけでなく、燃料効率・メンテナンス費用・耐久性を総合的に評価する必要があります。
テストドライブ等
可能であれば事前にコンバインを現地確認することで具体的な感触を得ることが出来ます。
コンバイン の人気メーカー
コンバインの人気メーカーには以下のメーカーが挙げられます。
クボタ
- 幅広いラインナップで、シリーズごとに強みあり。
- 生産者の負担を軽減する工夫が多く取り込まれている。
- サポートクラウドシステムにも対応した最先端のコンバインがある。
- 代表シリーズ 「DYNALITE NEO」
ヤンマー
- ディーゼルエンジンの分野に強み。故障の少なさや低騒音を求める方向け。
- 刈り取り部分を左右にスライドするフィットスライド機能など、刈り残しの少なさ・高精度の選別に強み。
- 代表シリーズ 「YHシリーズ」
井関農機
- 自脱型コンバインに強み。
- 生産資材費低減に応えたシンプル・低価格仕様から、先端技術を活用した収量コンバインまで幅広いニーズに応えたラインナップ。
- コンパクトな仕様でも能率・精度を追求し、クラス最速の刈取速度を実現。
- 代表シリーズ 「HFCシリーズ」
コンバイン は新品で購入?それとも中古品?レンタル?
新品、中古品、レンタル品はそれぞれに利点と欠点があります。
新品は高性能で長寿命ですが、コストが高いです。
中古品は初期費用が抑えられますが、コンバインの走行距離やメンテナンス状態をよく確認しましょう。ものによっては修理費用で新品より費用がかかるなんてこともあり得ます。
レンタルも初期投資を抑えられますが、長期的に使う場合にはコストが高くなるかもしれません。
農業経営計画・総合的なコストパフォーマンスを考慮して最適な入手方法を決定する必要があります。
まとめ|コンバイン は 【新品 or レンタル】がおすすめ!【燃料効率】 は必ず重視しよう!
メンテナンス履歴や状態が格段によい中古品を除いては、新品またはレンタル品を選択することで維持費を抑えることが出来るためおすすめです。
- 長期的な利用の場合、新品
- 短期的な利用の場合、レンタル品
コンバインには様々な機能・性能がありますが、なかでも重視したい項目は、ずばり、高いコストパフォーマンスに大きくかかわる「燃料効率」です。
そのほかには、大きな農場での作業効率をあげたい方は、「収穫能力」「処理品質」「地形適応性」「オートメーション技術」を重視すると良いでしょう。
農機具は技術的に進歩し続けています。そのため、新しい技術の導入可能性や、将来的にどのような農機具が必要になるかを予測し、その観点から機器を選ぶことも重要です。