はじめに&鍬とは
野菜作りをする中では、色々な農作業用の道具を上手に使い分けることで、より良い作業を行うことができます。機械化が進んだ現代の農業でも、昔から受け継がれてきた道具も多くの作業で変わらず使わています。今回は、家庭菜園や園芸の初心者向けに昔から農具の代表的な存在と言える鍬の種類や正しい使いかたなどについてご紹介します。
体に負担をかけない鍬の使い方
刃を地面に水平においた状態から、少し刃の奥側が浮くぐらいの状態で土に入るようにし、体側に引いて土を削ります。削った土は鍬の上にのせて移動させながら作業すると効率が良いです。利き手が前、利き手ではない方の手が後ろにして、体が前になりすぎないように気を付けながら自分が一番作業しやすい位置で棒を持つようにしましょう。平鍬は深く耕すのには向いていないので、土に向かって突き刺すようにつくのはやめましょう。体に負担がかかってしまいますし、繰り返すと刃が曲がります。鍬を引きながら少しずつ土を削っていくことで、同時に地面をきれいな平面に整地するとができます。
クワの種類と使い分け方
平鍬
鍬は先端の金属の形状によって種類が分けられます。最初に紹介するのが平鍬。平鍬は名前の通り先端の金属が平らな長方形の一枚刃になっていて、畑を耕したり野菜を掘り起こして収穫したり、といったことにも使われるスタンダードな形状の鍬です。掘り起こしに使われる鍬は次に紹介する唐鍬や備中鍬で、平鍬の中では土を掘るというよりは浅い土をすくうと言ったことに使われやすいです。日常の家庭菜園での使用に適した道具と言えるでしょう。
唐鍬
平鍬に比べて金属部分が分厚くなっていて頑丈なので、固い地面を耕すのに適しています。そのため、主に荒れ地の開墾や林業などに使われてきた道具です。家庭菜園では比較的硬めの土壌を耕す際に使うと良いでしょう。
備中鍬
備中鍬は上のふたつとは金属の形状が大きく異なり、葉が先端に向かって3~4本に分かれています。他の鍬に比べて先端がとがっているので粘土質などの固い地面でも楽に砕くいて掘り起こすことが可能になっています。土を砕く、または土の中の石をかき集めるという作業に最も適しています。この道具は江戸時代に広く使われるようになり、17世紀から18世紀にかけての農業生産の発展の一助になりました。
江戸時代の農業技術の発展
江戸時代に中期に当たる17世紀から18世紀にかけて、農業に使われる様々な道具が改善され、日本の農業生産力は向上しました。今回紹介した備中鍬の他、穀粒を選別するための千石どおしや唐箕、灌漑用の踏み車が全国の村々に普及したほか、宮崎安貞の「農業全書」や、大蔵常長の「農具便利論」「広益国産考」などが出版されて広く読まれ、日本の農業は成長を遂げていきました。