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Fucus spiralis藻類の統合的価値化:多糖類と生理活性物質の食用フィルムへの利用、および残渣のバイオスティミュラントとしての利用

Fucus spiralis藻類の統合的価値化:多糖類と生理活性物質の食用フィルムへの利用、および残渣のバイオスティミュラントとしての利用

#バイオスティミュラント #食用フィルム #海藻

タイトル

Integrated Valorization of Fucus spiralis Alga: Polysaccharides and Bioactives for Edible Films and Residues as Biostimulants
「Fucus spiralis藻類の統合的価値化:多糖類と生理活性物質の食用フィルムへの利用、および残渣のバイオスティミュラントとしての利用」

著者と所属

Valter F. R. Martins 1, Marta Coelho 1 , Manuela Machado 1 , Eduardo Costa 1 , Ana M. Gomes 1 ,

Fátima Poças 1 , Raul A. Sperotto 2, Elena Rosa-Martinez 1, Marta Vasconcelos 1, Manuela E. Pintado 1 ,

Rui M. S. C. Morais 1 and Alcina M. M. B. Morais 1,*

1 CBQF—Centro de Biotecnologia e Química Fina—Laboratório Associado, Escola Superior de Biotecnologia,

Universidade Católica Portuguesa, Rua Diogo Botelho, 1327, 4169-005 Porto, Portugal;

s-vfrmartins@ucp.pt (V.F.R.M.); mcoelho@ucp.pt (M.C.); mmachado@ucp.pt (M.M.); emcosta@ucp.pt (E.C.);

amgomes@ucp.pt (A.M.G.); fpocas@ucp.pt (F.P.); emartinez@ucp.pt (E.R.-M.); mvasconcelos@ucp.pt (M.V.);

mpintado@ucp.pt (M.E.P.); rcmorais@ucp.pt (R.M.S.C.M.)

2 Graduate Program in Plant Physiology, Botany Department, Biology Institute, Federal University of Pelotas,

Pelotas 96160-000, Brazil; raulsperotto@gmail.com

* Correspondence: abmorais@ucp.pt

発表雑誌

Foods 2024, 13, 2938.
https://doi.org/10.3390/foods13182938

論文の内容

海藻由来のバイオスティミュラントは、近年、世界中で注目を浴びている農業資材です海洋に豊富に存在する褐藻類であるFucus spiralis ;マルハナガタヒバマタは、フロロタンニン、フコキサンチン、ビタミン、フェノール化合物、多糖類などの生物活性化合物が豊富に含まれています。

本研究では、Fucus spiralis から、二段階の抽出プロセスを経て生理活性物質と多糖類を抽出し、さらに抽出後の固形残渣のバイオスティミュラント資材としての活性を調べました。具体的にはまず、マイクロ波水拡散重力抽出法(MHG)によって、ポリフェノールなどの生理活性物質を抽出しました。このときに残る固形残渣(+PS残渣)には多糖類が多く含まれています。続いて、この+PS残渣からさらに多糖類を抽出することで、多糖類をほとんど含まない残渣(−PS)を得ました。以上の過程で抽出した生理活性物質と多糖類、アルギン酸を基材として食用フィルムを作製したところ、その食用フィルムは高い抗酸化活性を示しました。

研究チームは、2種類の+PS残渣と-PS残渣をバイオスティミュラントとしてエンドウ、イネ、トマトへ処理し、発芽率や地上部・地下部の成長への影響を評価しました。+PS残渣を処理に用いた場合、エンドウの発芽率が48%向上し、0.5%濃度で処理した際には根の乾燥重量が20%増加しました。一方、−PS残渣は特に根の発達に強い効果を示しました。イネでは0.05%の濃度で処理したところ、根の乾燥重量が53%増加し、地上部も最大で38%の増加が確認されました。トマトでは、根の乾燥重量が最大で176%の増加、地上部も最大で74%増加するなど、非常に高い成長促進効果が見られました。一方で、トマトの発芽率については、42〜51%の低下が確認され、植物種によって反応が異なる可能性が示唆されました。

このように、Fucus spiralis の抽出工程から得られる残渣は、それぞれ異なる特性を持ちながらも、植物の根系や地上部の成長を促すバイオスティミュラントとしての可能性を示しています。本研究は、生理活性物質の抽出後に残る副産物をもバイオスティミュラントとして活用するという、循環型農業の実現に向けた新たな可能性を示すものと言えるでしょう。

研究者視点のコメント

本研究が明らかにした点の一つは、Fucus spiralis抽出後の残渣が、単なる副産物ではなく、農業において高い付加価値を持つ「再資源化可能な成分」であることです。これまでの研究の多くは、製剤(資材)を生産するための海藻からの生物活性化合物の抽出に焦点を当てていました。一方で、副産物である抽出後の残渣には注目されていませんでした。抽出後の残渣が有効利用されることで、廃棄物の削減だけでなく、農業における生産性や資材効率の向上にもつながる点が注目されます。本研究ではPS残渣処理による作物の発芽率やバイオマス増加といった成長促進効果が明確に検証されており、バイオスティミュラント資材としての実用的可能性を示しています。また、多糖類を含まない-PS処理においても高い成長効果が得られた点から、バイオスティミュラント作用が、複数成分の相乗的な働きに起因している可能性が考えられます。これは、バイオスティミュラントのメカニズム解明という観点からも貴重な知見です。本論文では、植物種によってPS残渣の効果が異なる理由は明らかにされておりませんでしたが、PS処理した際の遺伝子発現解析、メタボローム解析などの検証がPS残渣の効果を知るうえで求められると考えられます。

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AGRI SMILE研究者チーム

AGRI SMILE研究者チーム scientist

科学者

サイエンス・テクノロジーからの支援により、持続可能な農業の実現に取り組む(株)AGRI SMILEの研究者チームです。 メンバー全員が生命科学をベースとする博士号を取得済。植物科学に関する学術論文等の執筆はもちろん、論文の審査や編集にも携わってきました。 加えて、圃場に足を運んでJA職員や生産者との意見交換を頻繁に行い、産地の課題感にフィットしたバイオスティミラント資材の開発に取り組んでいます。

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