柑橘類農家になるには?
知らない土地に移住して、知識ゼロの状態で果樹園や機材を購入から全て自分で始めるのはとても不安ですよね。柑橘類の農家になる前に、まずはアルバイトや農業研修などからはじめると、自分の柑橘類農家への適正があるかどうかも分かるのでおすすめです。
柑橘類の産地では、アルバイトの募集はもちろん、後継者不足を解消するためにも就農者支援をおこなっている自治体も多くあります。例えば、他府県から移住予定の人に対して補助金を受け取れる制度を設けていたり、ホームステイ型の短期アルバイトなどもあります。
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※JAみっかび公式ショップスタッフおすすめのミカンな加工品柑橘類農家になるメリット・デメリットは?
柑橘類の農家になったときに考えられるメリットやデメリットは?
メリット
- 忙しい時期と手があく時期がはっきりしている
- 水やりの必要はほとんどなし
- 自然の中でストレスをあまり感じることなく作業ができる
- 育てる楽しさ、収穫する喜びが味わえる
デメリット
- 斜面に畑が多く、足腰に負担がかかる
- 天気の影響を受ける
- 苗木から成木になるまで2~5年かかる
- 豊作年と不和年とが交互に訪れる
柑橘類農家の年収は?
他の農作物と比較すると果樹農家の年収は高めのようです。2019年のデータでは181.9万円(露地作)となり、農業経営全体の全国平均118.8万円より高い水準です。その中でも柑橘類の農家は266.4万円の所得となり、ブランド品種を作る農園ではそれ以上の収入を得ています。さらに高い収入を得る果樹農家となると、ジュースやジャムなどの加工品を作り販売する6地産業化を行っています。
柑橘類農家の初期費用は?
柑橘類の栽培では他の農作物と違い、栽培に必要な設備への初期投資は少なくすみます。農地さえあれば、軽トラと動力噴霧器を揃えるだけで始められるという人もいるほどです。
効率性を考えて農業機械を導入すると、コストは高くなりますが生産性はアップします。
年間で必要な資金目安
全国新規就農相談センターがおこなった調査では、2016年新規農業者が用意した自己資金は農業準備金として232万円程度。出荷するまでは収支が見込めないため、生活面で準備金として159万円程度必要となります。柑橘類農業の経営費としては27.6万円程です。
自分で初期費用が準備しきれない場合は?
果樹農園によって、後継者を育てる一貫として所定の研修を終了した社員に対し、農園の一部を貸し出して自身の裁量で運営させてくれる農園があります。農機具や設備の貸出もあるため、社員は低リスクで営農手法を習得し始めることができます。
また、農地や研修先、出荷先などを確保し、2年間は安定した環境で農業に専念できる制度を確立している自治体もあります。補助金制度を受けられることもあり、金銭的に不安な場合でも始められます。
柑橘類農家の仕事内容は?
柑橘類によって季節に応じた仕事は異なりますが、病気や害虫の予防や対処、草刈りや剪定、収穫と出荷作業などがあります。
柑橘類農家に求められること
柑橘類の栽培のほか、お金の管理や販売先の確保、梱包作業やマーケティング業務、加工など農作業以外の仕事も発生してきます。基本的に雨の日は外で農作業ができないため室内作業の加工品の製造や梱包作業をするそうです。
1年で一番大変な時期は収穫時期となり、コンテナいっぱいに柑橘類を詰め込み1日100往復しながらトラックで運びます。柑橘類の種類によっては収穫時期が寒い真冬だったり、炎天下の真夏が繁忙期になります。その中でも動ける体力が必要です。
他の農家に比べて労働時間は長い?短い?
労働時間は10aあたり236時間です。収穫作業に一番時間がかかり、次いで除草や防除と出荷で作業全体の約65%を占めます。1年間で柑橘類作りに必要な時間は200時間。これは米作りの30時間と比較すると作業時間は多くなります。
果樹別に見ると柑橘類の労働時間は短く、露地ブドウが441時間、梨が359時間、リンゴが258時間です。露地ブドウは受粉や摘果、剪定の他、袋掛けなどの作業があるため、作業時間が長くなります。
1日のタイムスケジュール
レモン農家の1日の仕事スケジュールは、夏と冬で違います。
<夏>
- 6:00 起床
- 6:30 畑作業
- 11:00 お昼休憩と自由時間
- 15:00 畑作業
- 19:30 帰宅
- 22:00 就寝
<冬>
- 8:00 起床
- 8:30 畑作業 または 出荷作業
- 12:00 お昼休憩と自由時間
- 14:00 畑作業 または 出荷作業
- 17:30 帰宅 WEB作業
- 24:00 就寝
基本的には日が暮れたら作業が見えなくなるので、日が暮れだしたら畑作業は終了です。レモンの収穫時期が冬になるので、帰宅してからWeb注文分の確認や出荷連絡などの作業が追加されます。
柑橘類農家の1年間のスケジュールは?
柑橘類の収穫時期は春夏秋冬の1年を通してさまざまあります。種類によって1年間のスケジュールが違いますので、ここではレモン、甘夏、柚子を例に挙げてご紹介します。
開花時期|摘蕾・摘果・人工授粉
レモン
5月、7月、9~11月の年3回ほど花が咲きます。5月の花を大切にして、実を育てます。7月以降の花は実になっても大きくなりません。レモンは1個の実に25枚の葉が必要となるので、その数を目安に摘蕾します。
甘夏
7月下旬から8月中旬頃に摘果を行う。甘夏は葉100~120枚あたりに1果になるように傷がついたものや小玉なものを摘果します。
柚子
8月下旬から10月中旬までは収穫を兼ねて緑果の摘果をおこない、最終的に葉100枚あたり1課程度になるようにします。
収穫前|薬剤散布
レモン
レモンの中で特に気を付けたい病気は、かいよう病です。かいよう病を防ぐために、レモンのトゲを元からカットし、果実のまわりの不要な枝も剪定します。そして5~6月にかけて薬剤防除をします。
甘夏
かいよう病に注意し、防風樹や防風ネットの設置を行います。3月と5月上旬、6月の3回防除を徹底します。かいよう病が発生しやすい夏秋梢は10月に剪定します。
柚子
3~4月と6~7月の2回病害虫の防除をおこないます。
収穫時期|収穫・出荷
レモン
11月中旬から翌年1月までに終わらせます。11月は熟す前のグリーンレモン、12月から2月は熟したイエローレモンとして収穫します。
甘夏
暖地以外では12月中旬から1月上旬頃に収穫します。このままでは酸味が強いため、貯蔵して減酸させてから食べます。暖地では樹上越冬させて2月から3月頃に収穫します。
柚子
8月から9月にかけて青柚子として収穫し、11月に果実が黄色く色付いたら収穫します。貯蔵したいのであれば、黄色く熟したものは適さないので、青柚子のうちに収穫しておきましょう。青柚子であれば2月から3月頃まで貯蔵できます。
収穫後|礼肥・剪定
レモン
3月から4月中旬にかけて剪定をおこないます。ただ枝を切り詰めるのではなく、日当たりを考えながら整えます。春に伸びた枝に翌年実をつけるので、結実させたい枝は剪定しないでおきましょう。
甘夏
剪定時期は3月です。切り返し剪定はなるべく控えて、込み合った部分の枝を間引き、内部まで光がよく差し込むように整えます。
柚子
3月から4月頃に剪定します。柚子の木は樹齢4~5年程まではまだ実を付けないので、基本的には剪定の必要はありません。
まとめ
新しいことに挑戦する前はとても不安な気持ちになりますが、先に住み込みでアルバイトをしたり、農業体験や研修などを経験しておけば安心です。それに、各自治体が果樹園の紹介をしてくれたり、補助金の制度があったりと農園を始めるにあたって資金面でも安心です。もし、柑橘類の農家に興味がある方は色々検索してから始めてくださいね。