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農業アシストスーツ徹底比較!価格・機能・メリット・デメリットを解説

農業アシストスーツ徹底比較!価格・機能・メリット・デメリットを解説

農作業は重労働で、高齢化などにより人手不足が深刻な課題となっています。そこで注目されているのが「アシストスーツ」です。アシストスーツは農作業の効率化や負担軽減に寄与すると期待されています。例えば、モーターの駆動で重い農機具を持ち上げる動作をサポートしてくれます。 本記事では、農業分野で使われるアシストスーツについて、メーカー製品の比較や導入のメリット・デメリット、補助金制度などを詳しく解説していきます。農業従事者の方はもちろん、農業関連企業の方にも参考になる情報をお届けします。

アシストスーツとは?

まずは、アシストスーツとは一体どんなものなのかを解説します。

定義と機能

アシストスーツとは、人間の身体能力を補助・拡張する「ウェアラブルロボット」のことです。背中や腰、足などに装着して、重量物の持ち上げや移動などの作業時に、人の筋力を機械的に増幅する機能を有しています。

主な構造は以下の通りです。

  • センサーで人の動きを検知
  • モーターで人の動きをアシスト 
  • バッテリーで駆動する

この機能により、アシストスーツは次のような効果が期待できます。

  • 重量物の持ち上げ作業の負担軽減 
  • 長時間の作業による疲労軽減
  • 腰痛などの負傷リスク低減

農業における利点

農作業は重労働が多く、高齢化が進む農業従事者にとって大きな負担となっています。そこでアシストスーツの導入が注目されています。

アシストスーツは、作業者の動きをアシストし、腰や膝への負担を大幅に軽減できます。例えば、次の表のように長時間の作業による疲労度合いが大きく改善されます。

作業内容 アシストスーツ無し アシストスーツ有り
畑で1時間草取り作業後の疲労度 ★★★★☆ ★☆☆☆☆

このようにアシストスーツは農作業の負担軽減に大きく貢献し、生産性の向上や人手不足解消にもつながります。また、高齢農業従事者の方々の作業を補助する役割も期待されています。

一方で、アシストスーツの導入には高額な初期導入コストがかかるなどの課題もあります。しかし、長期的に見れば生産性向上によるメリットが大きいため、今後の普及が期待されています。

主要メーカーのアシストスーツ比較

ここからは、主要メーカーのアシストスーツについて、性能や価格を比較しながら紹介します。

イノフィス

イノフィスは、東京農工大学発のベンチャー企業が開発したアシストスーツです。同社のアシストスーツは、腰部に装着する小型の動力ユニットから腰への負荷を軽減する構造となっています。

  • 製品名:腕上げ作業アシストスーツ GS-ARM
  • 重量:3.2kg 
  • 使用時間:制限なし
  • 販売価格:149,600 円(税込)

作業者の腰への負担を大幅に軽減できるのが特長で、屈伸動作時の腰部への負荷を最大で62%軽減できるとメーカーは発表しています。 価格も20万円前後と比較的手頃な設定となっており、導入コストの面でもメリットがあります。

クボタ

クボタの代表的なアシストスーツには、「ラクベスト」があります。収穫作業など、腕を上げたままでの作業を支えるアシストスーツです。

  • 製品名:ラクベスト
  • 重量:3.8kg 
  • 使用時間:8時間以上
  • 販売価格:143,000 円(税込)

クボタアシストスーツは、軽量でコンパクトな設計が特徴です。作業者の負担を大幅に軽減し、生産性の向上が期待できます。また、農家の方だけでなく、林業や建設業などの現場でも活躍しています。

一方で、上位モデルほど価格が高くなり、作業着に装着する際の煩わしさも課題とされています。しかし、農業分野でのアシストスーツ需要は高く、政府の補助金制度を利用すれば費用面での負担は軽減されます。

CYBERDYNE

株式会社- CYBERDYNEは、HAL(Hybrid Assistive Limb)という世界初の運動支援型ロボットスーツを開発した会社です。農業分野では「HAL for Labor Support(腰タイプ)」を提供しています。

  • 製品名:HAL for Labor Support(腰タイプ)
  • 重量:3.1kg 
  • 使用時間:4.5時間
  • 販売価格:1,400,000円(税込)

CYBERDYNEのロボットスーツは、高度な技術を搭載しているため価格が高額になる傾向にあります。しかし、医療・介護分野で実績があり、腰痛対策としての有効性は確認されています。

ダイドー

ダイドーの「TASK AR2.0」は、高負荷の腕上げ作業の現場にも対応したハイパワーモデルのアシストスーツです。10kg以上の負荷にも対応できるので、現場での幅広い作業に活躍が期待されています。

  • 製品名:TASK AR2.0
  • 重量:3.9kg 
  • 使用時間:-
  • 販売価格:1か月44,000円(税込)、2週間26,400円(税込)

このように、TASK AR2.0はパワフルで、高負荷な作業に向いています。現在、レンタルプランで導入することができます。

ユーピーアール

ユーピーアール株式会社は、ドイツのBionikaPowerWearをベースに国内向けの改良を重ね、「ユピーアシストスーツ」を開発しました。同社のアシストスーツは、最大で約30kgの重量物を楽に持ち上げられるほか、腰への負担を最大で約40%軽減できるのが特徴です。

  • 製品名:サポートジャケットEp+ROBO
  • 重量:3.4kg 
  • 使用時間:約4時間
  • 販売価格:657,800円(税込)

導入実績の多くは建設業界ですが、農業分野でも導入事例が増えつつあります。導入の際は国や自治体の補助金を活用することで、コストを抑えられます。

アシストスーツ導入のメリット

ここからは、アシストスーツ導入のメリットを紹介します。

作業負担の軽減

農作業は重労働が多く、腰痛や肩こりなどの身体的負担が大きい職種です。特に田植えや収穫作業など、長時間の作業姿勢が要求される作業では、身体への負荷が高まります。

アシストスーツを導入することで、こうした身体的負担を大幅に軽減できます。例えば、次の表のように期待できる効果があります。

  • 腰部負荷:最大約60%軽減
  • 上肢負荷:最大約30%軽減 
  • 下肢負荷:最大約40%軽減

アシストスーツは、身体の動きに合わせてモーターが発生する力で動作を補助します。つまり、農作業中の力の入れすぎや無理な動作を機械的にサポートしてくれるのです。長時間の農作業でも疲労が蓄積されにくくなり、安全に作業を行えます。

このように、アシストスーツの導入は農作業の身体的負担を大きく軽減する効果があります。農業従事者の健康維持や高齢化対策にもつながる優れた機能といえるでしょう。

生産性の向上

アシストスーツの導入により、農作業の生産性が大幅に向上することが期待できます。

その理由として以下の3点が挙げられます。

  1. 作業時間の短縮:アシストスーツを装着することで、従来よりも負担の少ない作業が可能になります。疲労が溜まりにくいため、休憩時間を削減できるようになり、結果的に作業時間が短縮されます。
  2. 高齢者の活用:高齢化が進む農業分野において、アシストスーツの活用は大きな力になります。体力的な面で制約があった高齢者でも、アシストスーツを装着することで、十分な労働力を発揮できるようになるためです。
  3. 人手不足の解消:アシストスーツによる作業負担の軽減は、若年層の農業離れを食い止める一助にもなります。人手不足に悩む農業経営者にとって、アシストスーツは待望の存在と言えるでしょう。

このように、アシストスーツの導入は生産性向上に大きく寄与することが期待されています。ただし、導入コストの問題など、課題もあることは次節で説明します。

人手不足解消への貢献

農業分野では恒常的な人手不足に悩まされており、その解決が大きな課題となっています。アシストスーツの導入は、この問題の改善に大きく貢献できると期待されています。

  • 重労働の軽減により若年層や女性の就労が促進される 
  • 高齢者の就労継続が可能になる
  • 1人で行える作業範囲が拡大し、少人数での作業が可能に

このように、アシストスーツは身体的負担を大幅に軽減するため、農作業への従事を敬遠されがちだった層の参入を後押しします。また、高齢従事者の継続就労も可能になり、人手確保に大きく寄与できるのです。

さらに、装着者1人で行える作業範囲が格段に広がることから、少人数での効率的な作業体制が築けます。アシストスーツの普及は、農業の人手不足解消に向けた有力な手段になり得るでしょう。

アシストスーツ導入のデメリット・課題

ここからは、アシストスーツ導入のデメリットや課題について紹介します。

高額な導入コスト

農業用アシストスーツを導入する際の最大の課題は、その高額な導入コストにあります。アシストスーツの購入費用は、メーカーや機種によって異なりますが、一般に数十万円から100万円以上と非常に高価です。

このように、一般的な農家が個人で導入するのは経済的にかなりハードルが高いと言えます。一方で、農業法人などが従業員用に複数台導入する場合は、作業効率化による生産性向上などのメリットが大きくなるものの、導入コストの負担が重くのしかかります。

現状、高額な導入コストが農業分野へのアシストスーツの普及を妨げている一因となっています。今後、国や自治体による補助金制度の充実や、メーカー各社の低価格化への取り組みなどによって、コストが抑えられることが普及の鍵となるでしょう。

装着の煩わしさ

アシストスーツの装着は、一般に複雑な手順を要します。まずスーツ本体を着用し、次にモーターやバッテリーを装着・接続する必要があります。

例えば、次のような工程が必要となります。

  1. スーツ本体の着用
  2. モーター取り付け
  3. バッテリー装着
  4. 電源投入・動作確認
  5. 調整・微調整

このように、装着には少なくとも5つ以上の作業工程を経る必要があり、スムーズに行えるまで訓練を要します。また、作業中にバッテリー残量などを気にかける必要もあり、煩わしさが生じがちです。

一方で、簡素化されたアシストスーツも一部で登場しています。スーツ本体とバッテリーが一体化されたタイプなどでは、装着の手間が大幅に軽減されています。しかし、その分バッテリー持続時間が短くなるなどの課題もあり、利用用途を選ぶ必要があります。

装着の簡素化は、アシストスーツの普及にとって重要な課題の一つといえるでしょう。

動作の制限

アシストスーツを装着することで、作業者の動作が一部制限されてしまうというデメリットがあります。

アシストスーツは関節部分に動力装置が内蔵されており、装着時に体の自由度が低下する傾向にあります。特に屈伸動作の制限が目立ちます。

例えば、以下のような動作では装着者の行動が阻害されかねません。

  • 腰を深く曲げる動作 
  • しゃがむ動作 
  • 腕を頭上まで上げる動作

このため、装着者は慣れが必要で、装着した状態で作業できるようになるまで時間を要します。さらに、体格や作業内容によっては、全く装着できない場合もあり得ます。

このような動作の制限は、アシストスーツの重量や形状によるものです。今後の技術革新で軽量化や小型化が進めば、動作の自由度は向上していくことが期待されています。

耐久性への不安

農業用のアシストスーツは屋外での過酷な作業環境下で使用されることから、その耐久性が懸念されます。

特に以下の点に注意が必要です。

  • 泥や砂の付着による故障リスク 
  • 雨天時の水濡れによる損傷の可能性
  • 紫外線による劣化

メーカー側でも一定の耐久性対策を施しているものの、実際の現場での使用時の注意が欠かせません。適切な点検・メンテナンスを怠ると、早期の故障や修理コストの増大に繋がる可能性があります。アシストスーツの導入に際しては、これらの耐久性面でのリスクを十分に認識する必要があります。

アシストスーツの補助金制度

アシストスーツの導入にはコスト面での課題が懸念されますが、農林水産省や経済産業省などの国や自治体による様々な補助金制度を活用することで、導入コストを抑えることができます。

例えば、以下のような補助金制度があります。

<補助金制度一覧> 

  • 農業機械等導入支援事業補助金(農林水産省) :対象機種:農業用アシストスーツ
    -補助率:1/3以内
  • ロボット導入実証事業費補助金(経済産業省) :対象機種:アシストスーツ全般 -補助率:1/2以内
  • 地域経済牽引事業促進事業費補助金(各都道府県) :対象機種:アシストスーツ全般 -補助率:1/2以内

このように公的機関から様々な補助金が用意されており、事業者の導入時の負担を大幅に軽減することが可能です。補助金の詳細は各機関のウェブサイトなどで確認し、積極的に活用することをおすすめします。

まとめ

農業用アシストスーツは、人手不足や高齢化が進む農業分野で大きな期待が寄せられています。

主要メーカーから様々な製品が発売されており、作業負担の軽減や生産性の向上などのメリットが期待できます。一方で、高額な導入コスト、装着の煩わしさ、動作の制限、耐久性への不安などのデメリットもあります。

デメリットへの対応として、各メーカーは改良を重ねており、経済産業省などによる補助金制度も整備されつつあります。総合的に判断すれば、アシストスーツは農業現場における重要な選択肢の一つと言えるでしょう。今後は、さらなるコストダウンと機能向上が望まれます。

以上のように、メリット・デメリットを理解した上で、補助金制度を最大限活用することが重要です。

参考サイト

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